飾ることなく「自然体」の職場を見てもらうことが大事
「職場では、自然体でふだんのようすをそのまま見てもらった」(因幡電機製作所 東日本配電営業グループ)
――初めての試みだったと思うのですが、「Jobトライ」を利用する前と後で、職場内に変化はありましたか。
大前氏「どうでしょう。『インターンシップの方が来るよ』と経緯は知らせていましたが、これまでに中途採用した人がなかなか定着しなかったこともあって、実際には派遣社員のような、短期契約で働く人というくらいにしか思っていなかったのではないでしょうか」
竹本氏「たとえば営業に一緒に出向いた社員と、そのときにどんな話をしたかとか、細かなチェックはしていません。むしろ自然体のまま、ふだんのようすをそのまま見せて、馴染んでもらえればいいな、うまくマッチングしてくれればいいな、というくらいの気持ちでした」
大前氏「おそらく、向こうからもかなり距離を詰めてきたんじゃないかと思います。職場に馴染もうと思って取り組んでいたのではないでしょうか」
――「中途採用ならば、これくらいはできてほしい」というようなことがあるように思うのですが......。
大前氏「必要なスキルは入社後に、少しずつ教えることで身につけてもらうことができます。そういう意味では、現場で彼と同行した営業担当は『教える』ことで学び直したことや、仕事を確認できたことがあったように思うので、プラスになっているのではないでしょうか。そういった目に見えない効果はあったように思います。
もちろん、入社を希望される方々には、積極的に『覚えよう』とする姿勢はもってもらいたいです。ただ、仕事のことは型通りの採用面接で会って話しただけでは、わからないことがありますよね。ある程度の期間を、一緒に過ごすことでわかってくることがあると思うんです。ですから私どもも、職場も『彼が来てくれたらいいな』と、だんだんと思いを強くしていったんだと思います」
――Jobトライの活用について、他社へのアドバイスはありますか。
竹本氏「まずはトライしてみて、回数を積んでいくことだと思います。Jobトライのインターンシップは、良くも悪くも1か月で一たん、お互いに考えることができるという点がいいと感じています。インターンシップ中も含め、社員に大きな負担があったわけではありませんし、入社希望者にありのままを見てもらい、感じていただければいいのではないかと思います」
◆「Jobトライ ~ミドルインターンシッププログラム~」の概要
東京都の「東京しごとセンター」が、40代前後のミドル世代の正社員を目指す求職者と、東京都内の中小企業とをマッチングする雇用促進プログラム。
セミナーと15~20日間の職場実習によって、求職者には正社員として働く心構えと業務に必要なスキルを、実践的に身につけてもらう。インターンシップに参加した求職者には、実習1日あたり5000円(支給要件あり)の「キャリア習得奨励金」を支給する。
2020年7月現在、Jobトライ窓口では連日多くの求職者からの問合せを受けている
東京しごとセンターでは、専任のジョブリーダーを用意。実習前から実習後、さらに採用後の定着までを、しっかりフォローするサポート体制を整えている。
※利用できる企業の条件は、ホームページで確認できる。