新型コロナウイルスの感染拡大の影響で客足が遠のいた飲食店は少なくない。それらの店では緊急事態宣言が解かれ、コロナとの共生が始まったことで、来店客を呼び戻そうと懸命だ。
大切なことは、しっかりと対策に努めること。それを来店客に訴求すること。音楽配信をはじめ店舗向けサービス事業を展開するUSEN-NEXT GROUPのUSEN(東京都品川区)は、店内の「非接触」をテーマに、来店客がスマートフォンでメニューを見られるようにする仕組みを開発。飲食店に、コロナ禍の新しい営業スタイルを提案している。
テーブル設置のQRコード読み込み
「ウィズ・コロナ」の中で求められているのは、「3密」回避のソーシャルディスタンスや飛沫対策。それに、非接触だ。飲食店ではイスやテーブルの配置を変えたり、透明のビニールカーテンやパーティションを設置したりするなどで「3密」回避や飛沫対策に努めている。
しかし非接触となると、店の努力だけでは、なかなかうまくはできない。コロナ禍で消費者の衛生意識が格段に向上しているなか、飲食店でメニューを手にすることに抵抗を感じる来店客も少なくない。そうした状況にUSENが「新しい営業スタイルの切り札」として提供を始めたのが、「USEN My Menu」と「Uレジ Mobile Order」というサービスだ。
「USEN My Menu」は、メニューをデジタル化してQRコードに転換する仕組み。店ではQRコードをポップにしたり、シールにしたりしてテーブルやカウンター席に配置。来店客は自分のスマホにQRコードを読み込ませれば、メニューを手にせずに済む。「Uレジ Mobile Order」は、来店グループごとに発行されるQRコードを読み込むことで、WEBブラウザ上でメニューを注文することができる仕組み。ECサイトで買い物をするかのような感覚で、好きなようにメニューを注文できるのが特徴だ。
USENのITソリューション事業部、伊藤直嗣事業部長によると、「USEN My Menu」は、店舗の新型コロナウイルス感染防止対策としてサービス開発、6月に提供を開始した。「Uレジ Mobile Order」は当初、8月ごろのサービス開始を計画していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、急きょ予定を前倒し。「6月から、提供を始めました。導入した店側からは、コロナ対策のうえに先進的なイメージの店づくりができると非常に好評です」と話す。
近い将来、注文から決済までを「非接触」に!
じつは、「Uレジ Mobile Order」開発の背景には、USENが5年前から展開している、飲食店向けタブレットPOSレジ「UレジFOOD」の存在がある。
タブレットPOSレジ「UレジFOOD」は、大型のレジスターではなく、タブレット一つで注文から精算、売り上げなどを管理できるので、その低コストや利便性が強みとなって利用店舗を増やしている。
「Uレジ Mobile Order」は決済機能の搭載も開発検討しており、そうなれば、来店客はメニューの注文から支払いまでを、「非接触」で済ませることができるようになる。また店にとっても、フロアスタッフの省力化が可能になる仕組みだ。
「Uレジ Mobile Order」は、この「UレジFOOD」のオプションとして開発されたものだが、コロナ禍で高まっている「非接触」のニーズに、スピーディーに手軽に対応できるツールとして、飲食店向けの提案に力を入れ始めた。
注文時の来店客とスタッフとの接触がなくなり、「USEN My Menu」がきっかけになって、「UレジFOOD」、さらには「UレジMobile Order」にグレードアップを見込んでいる飲食店もあるという。
ウィズ・コロナのなか、ITを使ったソリューションで飲食店支援はまだまだ可能性を秘めており、ITソリューション事業部の伊藤事業部長は、「まだまだ新たな機能の開発を予定している」と話している。
なお、USENは他にも新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、「声で広げる! ソーシャル ディスタンス プロジェクト」を展開。全国80万施設で、アーティストや俳優、声優など総勢50人超のアンバサダーが、働く人や病院を訪れる患者とその家族、スーパーや飲食店などの来店者に感染防止の注意を呼びかける活動にも取り組んでいる。