コロナ禍による新しい生活習慣にともない、「名もなき家事」が増えている。いわば、「新・名もなき家事」といってよさそうだ。
住宅メーカー大手で、家事を年収に換算するツール「家事年収シミュレーター」を公開している大和ハウス工業が、全国の20代~40代の配偶者がいる男女1200人を対象に、緊急事態宣言「以前と以後」の生活変化や家事に関する調査を行ったところ、「名もなき家事が増えた」と回答した人は全体の6割を超え、特に女性は72.0%と7割を超えたことがわかった。
新しい生活習慣による「名もなき家事」が増加
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、多くの人が手洗いやうがい、マスクの着用、換気などの衛生面を重視した、新しい生活習慣を身につけるようになった。外出自粛で、会社への通勤機会も減って、テレワークなどが生活に入り込んできたこともある。
一方、料理や掃除、洗濯以外にも、生活するうえで必要不可欠な「名もなき家事」は多数ある。コロナ禍の「新しい生活様式」の中で、男性の55.8%と女性の72.0%、全体では63.9%が「新たな名もなき家事が増えた」と回答した。
その内容は、「帰宅した家族にうがい・手洗いを呼びかける」(36.0%)、「マスク・消毒液の残量確認・購入」(33.8%)、「ティッシュ・トイレットペーパーの残量確認・購入」(33.4%)などがトップ3。
とくにテレワークなどで、家族全員が常に家庭にいる状態では、食事の負担が女性に大きくのしかかっているようで、「家族の3食分の献立を考える」が男性6.5%に対して、女性は53.0%だった。
夫婦の家事分担の割合を聞くと、緊急事態宣言以前は「妻が8割以上行う」と考える男性は52.7%で、女性はそれより20ポイントほど高い73.0%だった。一方、コロナ以降は「妻が8割以上」という男性は前より13ポイント低い39.5%で、「自分が家事を分担している」と捉えている男性が多いようだ。女性も65.3%と以前より8ポイント低くなり、家事軽減を実感している。ただ、夫婦間の差は以前より大きく25.8ポイントもあり、男性が思うほど女性は楽になったと感じていないようすがうかがえる。
唯一男性が多い「照明の交換」
つぎに、子供と同居する共働きの人(375人)に、実践している「名もなき家事」を選んでもらったところ、「使った道具を元の位置に戻す」が95.7%と最多。「使い切ったティッシュを取り換える」(92.3%)と「食べ残しの食品を冷蔵庫にしまう」(89.9%)の割合が高かった。
これを男女別にみると、一番差が大きかったのは「献立を考える」で、男性が49.7%に対して、女性は96.0%で、46.3ポイントもの差があった。2位は「アイロンがけ」で男性が47.2%で女性が73.9%と26.6ポイント差、「調味料の補充」も男性71.9%に対し女性は93.2%で、21.3ポイントの差だった。
上位のうち、唯一男性の割合が高かったのは「照明の交換」(男性82.4%:女性58.0%)で、24.5ポイントの差があった。「イクメン」や「主夫」などの言葉は定着したかにみえるが、家事分担の実態は平等ではなく、夫婦の意識にはまだ大きな差があることがわかった。テレワークによる女性の家事への負担を軽くするためにも、男性には積極的な参加が求められているようだ。
なお、調査は2020年6月5日~10日に全国の配偶者がいる男女1200人(共働き家庭と片働き家庭各600人、テレワークあり・なしで各600人)を対象に、インターネットで実施。7月9日の発表。