新型コロナウイルスの感染防止のため、飲食店などの店舗では、さまざまな対策が進められている。重視されているのは「飛沫対策」や、人同士や人と備品の「非接触」だ。
「モスバーガー」を展開するモスフードサービス(東京都品川区)は今夏、分身ロボットが接客する「ゆっくりレジ」を実験導入し、その成果を新しい社会環境に応じたオペレーションに反映する。2020年7月13日の発表。
お客がじっくり商品を選べる「ゆっくりレジ」を実験
実験は、ロボット開発のオリィ研究所(東京都港区)の協力を得て行われる。東京都品川区のモスバーガー大崎店で7月27日から8月下旬までに、オリィ研究所の分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」が接客に当たる。
OriHimeは全長約23センチとコンパクトで、子育てや単身赴任、入院や介護、障がいなどで、「その場」にいることができない人の「分身」の役割を果たすことを目的に開発された。「遠隔地にいてもあたたかみのあるコミュニケーションを可能にする」ことが特徴だ。 今回の実験導入では、難病や障害により外出が困難な人が「パイロット」として、OriHimeを操作して接客。「お客様と相談しながら、お客様の希望に応じたメニューをご案内する」ことから「ゆっくりレジ」と名づけた。
実験では、大崎店の店頭に平日14時から18時にOriHime」を1台設置。「会話を楽しみながらじっくり商品を選びたい」というお客向けに「ゆっくりレジ」を稼働させる。決済は有人レジで行うが、システムを改良してOriHime を通じて注文から決済までを行えるようにする予定。
新型コロナウイルスの影響が残る「ウィズ・コロナ」の社会環境のなか、モスバーガーのようなファストフード店をはじめ、あらゆる店舗や施設で、感染防止のためソーシャルディスタスなどの対応が求められている。
モスフードサービスでは「社会環境の変化に即した対応が外食業界にも強く求められている。当社では、今回の『ゆっくりレジ』の成果をもとにドライブスルー注文への応用や、自走式ロボットによる配膳業務などを検討していく計画」としており、ドライブスルー注文への応用や自走式ロボットによる配膳業務についても「2020年度内の実験開始を視野に入れていく」という。