「来年も応援していこう」という気持ちが継続率を支える
―― このプログラムを続ける中で、大きな発見があったそうですね。
大塚さん「データをとり続けていくうちに段々とわかってきたことがあります。それは、このプログラムに参加いただいているお客様とそうでないお客様のあいだの自動車保険の継続率に大きな差があり、参加しているお客様の継続率のほうが10%ほど高いことがわかりました。マーケティングの観点から見ると、この10%はとても大きな違いなんです。おそらく、『社会貢献に繋がる自動車保険なら、継続しよう』と多くのお客様にご賛同いただけたことが大きいと感じています。
試行錯誤を続ける中で、お客様との最適な接点もわかってきました。それは自動車保険の更新手続きを完了した直後のタイミングでの、お客様への訴求が最も効果的だということです。社会貢献プログラムだけでなく、当社の毎月のロイヤルティープログラム『三井ダイレクト損保の日』のプロモーションにも、このタイミングを活用することで、参加者を増やすことができています。基金の取り組みで得た『気づき』を、ビジネスのマーケティング活動にも活かすことができ、とても貴重な収穫でした」
―― 今後の基金への取り組みについて、方向性を教えてください。
大塚さん「できる施策や見直しは、その都度導入してきたので、すぐに何か大きな取り組みをすることは予定していません。このプログラムは、保険商品よりも前面に出すようなものではなく、お客様に『保険に加入したから、社会貢献にも繋がる』といった参加意識をもってもらい、当社のファンになっていただくという取り組みです。お客様との適切な距離感を保ちながら訴求を続けて、ひとりでも多くのお客様に、この社会貢献プログラムに参加してもらえたら、うれしいです。そうすることで良い社会になり、ひいては当社にも相乗効果がもたらされると思っています」
(聞き手 戸川明美)
【三井ダイレクト損保スマイル基金の概要】
「ワンクリックで、あの人が笑顔に」をキャッチフレーズに、三井ダイレクト損保の契約者と一緒に作り上げる、新しい発想の社会貢献の仕組み。交通事故防止や環境保護、災害からの復興支援の三井ダイレクト損保が掲げるSDGsの取り組みに即した3分野の支援活動に寄付金を分配する。
契約者による寄付金の負担はなく、ワンクリックで気軽に社会貢献できるのが特徴。契約者は三井ダイレクト損害保険が支援している活動のうち、特に応援したい活動に投票。毎年3月末時点の各活動の投票割合に応じて寄付金総額(321(みつい)万円)を、各活動を支援するNPO法人に分配する。
これまでの寄付金総額は2135万円、投票者数約20万人(2020年3月現在)。
プロフィール
大塚 浩
(三井ダイレクト損害保険 マーケティング部マネージャー)
2004年三井住友海上火災保険株式会社入社。営業企画部 営業IT推進室で、若者向けの「1DAY保険」やコンビニエンスストアのマルチコピー機を活用した保険販売など、インターネットを活用した保険募集システム開発に携わった。現在、三井ダイレクト損害保険株式会社に出向。マーケティング分野でファンづくりに貢献している。