ウェブや電話などの直販チャネルで自動車保険を販売する三井ダイレクト損害保険。2014年7月に「お客様参加型」の社会貢献活動プログラム「三井ダイレクト損保スマイル基金」を創設し、お客様ニーズに応えて見直しを加えてきた。
「この基金の運営で得た『気づき』が、会社のマーケティング活動にも好影響を与えている」――。そう話すのは、このプログラムを担当するマーケティング部マネージャーの大塚 浩さん。基金の立ち上げから現在の状況、今後の展望について聞いた。
「無事故なら社会や地球にやさしい」がコンセプト
―― 2014年7月に「三井ダイレクト損保スマイル基金」を創設されたとのことですが、この基金はどのようなものでしょうか。立ち上げの経緯について教えてください。
大塚浩さん「当社は、自動車事故に遭った際に、保険金のお支払いとそれに付随するサービスでお客様をサポートする、損害保険会社です。会社の創立から15周年を迎えた2014年の節目に、安全運転の意識向上を図ることで、より広く社会に貢献したいという思いで『三井ダイレクト損保スマイル基金』を創設しました。基金の運営にあたっては、当時会社で掲げていた『無事故』と『エコロジー』を組み合わせた『ムジコロジー』というコンセプトを取り入れました。無事故ならお客様だけでなく、社会全体や地球環境などにも良い効果を与えていく(=エコロジー)という考え方です。
具体的には、当社が寄付先として選んだ3つ(交通事故防止=日本カーシェアリング協会、環境保護=JUON NETWORK、災害からの復興支援=中央共同募金会)のNPO法人の中から、お客様ご自身で寄付先を投票いただき、寄付の割合が決まるという参加型のプログラムにしました。
さらに、お客様が無事故だった場合や契約年数の長さなどに応じて係数をかけて、投票したNPOへの寄付割合を増やせるように設計しました。無事故ならお客様も当社もハッピー、寄付先のNPOも寄付割合が増えてハッピーで『三方よし』のプログラムになったと思います」
―― その後の基金の歩みはいかがでしたか?
大塚さん「おかげさまで、昨年度(2019年度)までの累計投票参加者数は20万人、寄付総額が2000万円を超えました。ご参加いただいたお客様からはとても好評でしたが、一方で『計算方法などがわかりにくい』『契約実績を基に計算するため、最終的に寄付金額が確定するのが1年後になってしまう』などの意見もありました。残念ながら参加いただけないお客様も依然として多く、当社としては参加率をあげることが課題でした。そこで、2018年から19年にかけて、システムや制度の見直しを図りました。 まず2018年に、投票する際の専用サイトを、ログインの手続きが要らないオープンなサイトに移行。そして、2019年には係数を使った複雑な計算式をやめ、お客様にクリックいただいた数が寄付割合となるよう変更しました。さらには、年間の寄付総額もわかりやすい321(みつい)万円に統一し、投票数に応じて321万円を案分することにしました。こうした施策を段階的に取り入れたことで、2018年度以降、それ以前の年間投票数の5倍以上の数にまで大きく成長することができました」
※ 見直し前は、321(みつい)万円か、当社利益の1%のいずれか高い金額を寄付金額に設定していた。
※ SDGsの17の目標のゴールと3つの分野の関係
交通事故の防止=目標の「11.住み続けられるまちづくりを」「12.つくる責任、つかう責任」に寄与
環境保護=目標の「13.気候変動対策」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさを守ろう」に寄与
復興支援=目標の「11.住み続けられるまちづくりを」に寄与