国の歳出額の半分超が「国債」という借金で賄われている
このうち新規国債の発行が財源となっているのは、当初予算で32兆6000億円、2回の補正予算で57兆6000億円にのぼり、新規国債発行額の合計は90兆2000億円と巨額だ。
さらに問題なのは、巨額の特例国債(赤字国債)発行だ。当初予算での新規国債発行額31兆6000億円のうち、赤字国債は25兆4000億円、2回の補正予算では46兆円を赤字国債の発行に頼っており、赤字国債の総額は71.4兆円にのぼる。
公債依存度(一般会計歳出額のうち、国債発行が財源となっている割合)は、当初予算時には31.7%(うち赤字国債の割合は24.7%)だったが、2回の補正予算まで含めると56.3%(同44.5%)に跳ね上がる。
つまり、国の歳出額の半分以上が国債という借金によって賄われることになる。
公債依存度はリーマンショック後の2009年度でも51.5%、東日本大震災復興の2012年は48.9%だった点を考慮すれば、異常な高さと言わざるを得ない。
2020年度の当初予算での一般会計決算税収は63兆5000億円に過ぎない。内訳は所得税が19兆5000億円(2019年度は19兆2000億円)、法人税が12兆1000億円(同10兆8000億円)、消費税が21兆7000億円(同18兆4000億円)を見込んでいる。いずれも、2019年度を上回る。
だが、これもまた新型コロナウイルスの影響で所得税、法人税、消費税は大きく下押しされる可能性が高い。そのうえ2回の補正予算を含め71兆4000億円もの赤字国債が発行される。
新型コロナウイルスの影響で減少する税収。急増する赤字国債という構図を見れば、2020年度が大幅な財政赤字に陥ることは火を見るよりも明らかだ。
政府は2025年度の国・地方基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を財政再建計画の目標として掲げている。しかし、どう考えてもその目標の達成は無理だろう。それ以上に、コロナ禍が落ち着けば、財政再建のために大幅増税を行わざるを得なくなるはずだ。(鷲尾香一)