新型コロナウイルスの感染拡大防止で導入されたテレワークが定着化し、事務所を持て余し解約するケースが増えている一方で、事務所の廃止や狭い物件への転居に踏み切れない企業も少なくない。必要なとき使える事務所があればいいのだが......。
ウィズ・コロナの中で続く新しい働き方で、事務所用物件についてニーズが多様化している。
事務所借り、使ってないときに「又貸し」で収入
宮城県を中心にリノベーション事業を展開する株式会社エコラ(仙台市)は、仙台市内の築38年の10階建てオフィスビル1棟(延べ床面積約2074平方メートル)を丸ごとリノベーションし、新しいコンセプトのシェア型施設として再生した。
なかは、オフィスやデスクスペースのほかアパート、ショップ、レンタルスペースと多彩。いずれも借りながら貸せる」という賃貸物件で、2020年8月1日から供用を始める。7月13日の発表。
賃借人が借りた区画について、使っていない時間を他の人に貸し出すことができる又貸しの仕組みを採用。建物には、Rent(レント=借りる)のスペルをひっくり返して「Tner(トナー)」と名づけた。
賃貸契約者は、個人か法人かを問わず、賃貸している場所を使っていない時間に第三者に貸し出すことができ、その分の家賃収入が得られる。たとえば、ウイークデーにデスクスペースを借り、土日に2次利用として別の人物に貸したり、オフィスを契約している会社が、会議室を使用していない時間に別の会社に貸し出すことなどが考えられるという。
エコラでは、供用開始後には、キャリアカウンセラーを受付に配置し、契約者の仕事に関してのほか、借りているスペースの二次利用についての相談、契約者間の調整を行いながら新たなビジネスの発展を目指したいとしている。
イベント会場の「入退場者」を自動カウント・自動判断
公共施設の開放、イベントの開催が徐々に再開しているが、「3密」状態が生じないよう、管理者らには注意が求められている。測定機器の輸入・自社開発を行っている株式会社東陽テクニカ(東京都中央区)は、ドイツ企業(Deutsche Kennzeichen Technik GmbH)と代理店契約を結び、店舗や施設、イベント会場などでの入退室者数を自動でカウントして入室可能かを表示する入場管理システム「Digital Control System(DCS)240」を2020年7月15日から国内で販売する。
客足が戻り始めている店舗やイベント会場では、入場者数を制限する取り組みが行われているが、人数の管理と誘導は人手によるため、潜在的な感染リスクを排除しきれない。「DCS240」はセンサーで入退場者をカウント。設定された定員数に達していないかをディスプレーに表示する。表示画像は変更ができ、広告や案内もできる。
「DCS240」はドイツでは、スーパーマーケットをはじめとした各種店舗やフィットネスセンターで利用され、誘導員の感染リスク低減だけでなく、人件費の削減にも貢献しているという。