みなさん、こんにちは。馬医金満です。
今回は航空業界の現状、なかでもJAL(日本航空)とANA(全日本空輸)を見てみたいと思います。
周知のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、海外では多くの国が出入国を制限。また国内でも政府が都道府県をまたぐ移動を制限したことで、航空業界は大打撃を受けています。海外では経営破たんに追い込まれた航空会社もあります。JALとANAも厳しい経営環境にさらされています。
5月の利用客数、JALもANAも前年比90%超減少
JALが2020年6月9日に発表した5月の利用客数は、国際線が8295人で前年同月比99.0%減、国内線も24万4974人と92.4%減となっています。こうした利用状況を受けて、6月の国際線の供給便数も計画比4.0%、国内線は6月15日~30日で同46.0%まで削減されていました。
また、国内航空最大手のANAホールディングスも同様の影響を受けています。5月の利用客数は、国際線が2万4179人で前年同月比97.1%減、国内線も20万4155人と94.7%減です。
6月の国際線の供給便数は計画比9.1%、国内線で同30.5%に縮小しての運航となっていました。
航空ビジネスは固定費がかなりの割合を占めているので、この状態がずうっと続くようだとかなり厳しいと思っています。
国際航空運送協会によれば、世界の国際線需要が2019年と同じ水準に戻るのは2024年、国内線需要が2019年の水準に回復するのは2022年と推定されており、JALもANAも、最低でも2年間は「ウィズ・コロナ」の状況に耐え続ける財務状態をつくらなければいけないことになります。
「Go To トラベル事業」に期待する!
実際にJAL、ANA両社ともに資金調達を急いでいます。JALは株主総会で5000億円の調達にメドがついたと公表しています。一方でANAも4月からの3か月間で5350億円を調達し、1500億円で設定していたコミットメントライン(融資枠)は5000億円へ増額しました。
両社とも資金面の施策に注力したことによって、当面は事業を継続できる見込みが立ったと発表しています。実際に手元流動性を確認すると、2020年3月末時点で両社の流動比率は、JALが146.7%、ANAが107.6%と必要とされる100%は上回っていますが、望ましいとされる200%を下回っている現状は楽観視できないだろうと考えています。
その中で今、注目されているのは国内便の回復です。今年中の実施を目指して、政府が約1兆3500億円を計上し、クーポン券の提供などで国内旅行を喚起する「Go To トラベル事業」も企画されており、その中で航空各社がどのように勝ち残るのかに注目していきたいと思います。
では、また来週!(馬医金満)