全体がクラスターの新宿区から外にどんどん拡大中
東京都の専門家会議以外の専門家たちは、どう見ているのだろうか。
朝日新聞(7月10日付)「経路追えず『新宿は蔓延』」というインタビュー記事の中で、国立国際医療研究センターの忽那(くつな)賢志・国際感染症対策室長は、こう語っている。
「新宿区では、どこで感染したかわからない例が6月下旬から増えている。接待を伴う飲食店関連の人から家族に感染する例が増え、恐らく居酒屋や喫茶店で感染したとみられる人もいる。新宿ではもはや『夜の街』のクラスターにとどまらず、若者に蔓延している印象だ」
「こんなに早く感染者が増えてくるとは思わなかった。今は入院ベッドに余裕があるが、このペースで増えれば埋まっていく。今のうちに抑え込む必要がある。都内の感染者がほかの地域で、新たなクラスターを生んでいる可能性もある。高齢者施設や病院に広がると、重症化する人が増えて一気に深刻化する」
と、非常に切迫しているとの見方を示した。
フジテレビの情報番組「とくダネ!」(7月10日)に出演した昭和大学医学部の二木芳人・客員教授も「危険な段階に入った」と指摘した。
「明らかに危険な数字です。きのうの東京都の緊急会議でも、現場の医師から『明らかに市中に広がっている』『医療体制も安心できる体制ではない。すぐにでも逼迫しそうだ』という発言がありました」
同じ番組に出演した愛知医科大学の三鴨廣繁(みかも・ひろしげ)教授も、
「まったく同じ見解です。検査件数が増えたからといいますが、陽性率も6%近くに上がってきています。市中で感染が広がりつつあります。(病床)数はまだ余裕があるのかもしれませんが、医療現場のスタッフとしては、『また増えるのか!』という心労が大きく、数字以上の逼迫感を感じています」
とコメントした。
テレビ朝日の情報番組「羽鳥モーニングショー」に主演した白鴎大学の岡田晴恵教授は、小池都知事が検査件数増加を理由に「第1波との違い」を強調したことについて、こうバッサリ切って捨てた。
「新宿のPCRセンターが出す陽性率が、先週から30%前後に上がっています。新宿では市中感染が起きていると推察されます。減る要因はまったくありません。『夜の街』で騒がれたのは5月末。そのときに検査のテコ入れをすれば封じ込められたが、1か月経ち市中に出てしまった。今は静かに広がっている状況です」
と分析した。
(福田和郎)