日本の輸出規制が2019年7月1日に始まって1年余。「日韓経済戦争」は2年目に入ったが、収まるどころか、さらに激化。「時限爆弾」が破裂するカウントダウンが迫っている。
対立の引き金になった徴用工裁判で、被告の日本企業の差し押さえられた資産の現金化が、8月4日に可能になるのだ。徴用工訴訟の弁護団は「現金化を急ぐ」と宣言。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も容認の構えだ。
安倍晋三首相が報復に出るのは必至で、日韓は終わりなき泥沼の対立に突入する。いったい、どうなるのか。韓国紙で読み解くと――。
アサヒビール、味の素、ユニクロ、ホンダ...の赤字額は
日韓経済戦争が始まっていて1年がたった今、日本側の「被害」はどのくらいになるのか――。聯合ニュース(2020年7月5日付)「対韓輸出規制から1年 不買運動に苦しむ日本企業」が、主な企業の簡単な試算を紹介している。ただし、日産自動車やオリンパスなど、すでに撤退した企業は含まれていない。まだ、残って苦戦している企業の姿だ。聯合ニュースがこう伝える。
「日本政府が半導体材料の輸出を規制する措置を取ってから1年、韓国に進出した日本企業の苦戦が続いている。韓国の企業情報サイト『CEOスコア』が7月5日に出した日本の消費財企業31社の業績分析によると、これら企業の昨年(2019年)の韓国での売上高は前年と比べ平均6.9%減少し、営業利益は71.3%急減した」
たとえば、アサヒビールを取り扱うロッテアサヒ酒類は2019年の売上高が50.1%減の56億円(624億ウォン)にとどまり、約28億円の営業赤字に転落した。スープ商品が人気だった味の素の韓国法人は売上高が34.2%減少。営業利益は70.6%減った。
ホンダの韓国法人の売上高は22.3%(94億円)減少し、純損失は約13億円に達した。ユニクロの韓国法人、エフアールエルコリアの売上高は31.3%(400億円)急減し、216億円の営業損失を出した。スポーツ用品「デサント」、生活用品「ライオン」、生活雑貨「無印良品」の売上高もそれぞれ15.3%減、12.9%減、9.8%減といった状況だ。
一方で、業績が好調な業界もあった。IT・電機業は全体で売上高が10.8%、純利益が10.0%それぞれ増加した。ゲーム「あつまれどうぶつの森」が韓国で異常なブームになった任天堂や、高級スマートフォンに内蔵するイメージセンサーでサムスンを追い越したソニーが大きく売り上げを伸ばしたからだ。
ただし、同じ業種でもキヤノン、パナソニック、ニコンなどは売上高が2ケタ減となり、明暗が分かれた。