「コロナ・ショック」からの反発、だから売る? 「相場を張る」のではなく、必要だから取るリスク

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では、いつ売却するのか? それは「ゴール」が達成したとき

   次に資産運用をはじめてから、5年が経過した場合を考えてみます。価格が上下しながら5年後に100が150になったとします。下図1をみると、直前の大幅下落から急上昇していますので、「やれやれ、ようやく上昇してきたか」と、一たん売却したくなるかもしれません。

   しかし、10年間で設定した目標金額(ゴール)から見れば、まだ折り返し地点に過ぎません。短期的な価格変動で売買の判断を行なうのではなく、立てた目(ゴール)に対して検討すべきではないかと考えます。今回の「コロナ・ショック」からの反発でも、立てたゴールの途中であるならば同じことが言えます。

(下図1)5年後に「100」が「150」になった
(下図1)5年後に「100」が「150」になった

   たとえば価格が上下しながら、5年後に200になったとします。この場合、期間10年で立てたゴールに到達したわけですから、一たん、売却しても良いかもしれません=下図2参照

   ここで押さえておきたいことは、マーケットの短期的な見通しをもとに売却の判断をするのではないということです。これまでの価格変動に耐えることができたのは「相場を張ってきたわけではない」という強い考えがあったからです。

(下図2)5年でGOALを達成したら......
(下図2)5年でGOALを達成したら......

   つまり、長期的には「経済は右肩上がり」という考え方です。これは、人間の欲に限りがない以上、「経済は右肩上がりで成長する」、「であるなら、それを反映する株価は長期で右肩上がりになるはず」といった意志ある楽観論です。

   6月下旬にIMF(国際通貨基金)が最新の景気見通しを発表。2020年の世界経済の成長率を前年比マイナス4.9%としました。「コロナ」の影響で厳しい見通しが出されましたが、私たちの目的と時間軸にとって大事なのは、IMFが四半期ごとに発表する、2020年と2021年の成長率のスピードを議論するのではなく、お金が必要になって投信を解約するだろう、5年後、10年後、20年後に世界経済は縮小していく一方なのか、それともやはり拡大していくのか――。ただ、それだけだと思います。

   個人投資家が資産運用をスタートする時に、将来いくらにしたいかの目標金額(ゴール)を決めて、「ゴール達成=必要利回りの獲得」のために、自分にとって必要だから取るリスクと、「納得ずく」のリスクテイクができるならば、たとえ再び「コロナ」の影響で市場が大きく変動することがあったとしても、動揺することなくゆったり構えて前向きな資産運用ができるのではないかと考えます。(日興アセットマネジメント マーケティング部 山口亮二)

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