「クリエイティブ・クラス」として生きていくには
囲碁や将棋でAIが人間に勝つようになったころから「いずれ仕事をAIに奪われる」と心配すると人が増え、その通りに進んでいるかのように、2017年ごろからは日本国内でもRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)がブームになっている。
RPAは、ホワイトカラーの定型的なデスクワークをプログラムによって自動化して代行する概念。工場で産業用ロボットがブルーカラーの仕事を代行するのと同じように、オフィスではRPAというソフトウエアのロボットが、それまでホワイトカラーのやっていた作業をこなすようになっている。
「狩猟社会(1.0)」、「農耕社会(2.0)」、「工業社会(3.0)」、「情報社会(4.0)」に続き、いまは、AIやロボットとともに仕事をする「働き方5.0」の時代。
落合さんは、「働き方5.0」の時代の本質は「仕事をAIに奪われる」ということではないと断言。「技能の民主化や自動化によってゆるやかに人材の価値が変化していくことに自覚的であるかどうかが大切。いま人材として価値を高めている『クリエイティブ・クラス』のように、その時代にも重要になる層は間違いなく存在する。その価値の変遷に気付きながら動くか、動かないかが、将来を大きく左右する」と強調する。
「クリエイティブ・クラス」は、機械に代替されにくく、付加価値の高い能力を持つ人材。もともとは米国の社会学者による造語で、創造的な専門性も持つ知的労働者のことを指してそう呼んだ。
本書で落合さんは、コンピューターと人間が複雑に相互作用しながら織りなす社会の中で「クリエイティブ・クラス」として生きていくには、社会とどう向き合うべきなのかを、近未来の姿をビビッドに描きながら熱く語っている。
「働き方5.0 これからの世界をつくる仲間たちへ」
落合陽一著
小学館
税別820円