新型コロナウイルスの影響で開幕直後の2020年2月下旬から中断していたサッカーJ1リーグが7月4日に再開、各地で熱戦が展開された。だが行われた9試合はいずれも無観客での開催。サポーターは「場外」からの声援となったが、まるでナマ観戦のように最新テクノロジーでスタジアムに届くようになった。
スポーツの新たな楽しみ方を創造しようと2年前に設立されたスポヲタ株式会社は、リモート応援用サービスとして開発した「Sporta Cheer(スポヲタチア)」を、13年ぶりにJ1復帰を果たした横浜FCに提供、再開戦のコンサドーレ札幌との試合(ニッパツ球技場)で導入した。DAZNの中継に合わせ、自宅などからの声援や拍手がスタジアムに届けられたのだ。
自宅からの声援や拍手がスタジアムで聞ける!
「Sporta Cheer」は、カナダ・トロントの技術開発会社、ChampTrax Technologiesによる最先端の音声アルゴリズムをもとに開発された。自宅などスタジアム外で応援するサポーターが、スマートフォンやタブレット、パソコンを通じて利用できるサービス。利用中のサポーターの声援や拍手などが「Sporta Cheer」を通して音量や音質が最適化され、スタジアムに設営された音響システムに、タイムラグがほぼない状態で流される。無観客試合でもサポーターの声が選手に届き、サポーターは自宅にいながらスタジアムにいるような臨場感を楽しめる。
スポヲタ社によると、ChampTrax社の音声アルゴリズムを用いた声援サービスは、米国ではボクシングの試合やNFLのドラフト中継で導入実績があり、新型コロナの影響で無観客開催されているスポーツイベントで利用されている。間もなく開幕する米大リーグでも導入が予定されているという。
新ビジネス開拓、大阪テレビと山本工業が提携
新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、至る所にさまざまに及んでいる。ビジネス環境も世界規模で大きく変化することが考えられ、コロナ禍で生まれた潮流は、ビジネスの新たな需要を創出するかも知れない――。こうした考えをもとに、5年後に「万博」が開かれる大阪のテレビ局、テレビ大阪(大阪市)は、新たなビジネスモデルへのチャレンジを表明した。
大阪の優良企業として知られる山本化学工業(大阪市)と連携し、新しいプロジェクト「Global Dream Project(グローバルドリームプロジェクト)」を立ち上げた。2020年7月3日の発表。
テレビ大阪ではビジネスマッチングの分野でテレビ局の持つノウハウを提供。コロナ禍で変容するビジネス環境に対応した新商品の開発にも取り組みながら、経済活性化への貢献を目指すとしている。
山本化学工業は、ウエットスーツ素材で世界トップシェアを持つなど高い技術力を持つ。新型コロナの完成拡大が顕在化してからは、この素材によるマスクの開発を加速している。プロジェクトの第1弾として、ウエットスーツ素材やその素材のマスクをもとに、世界進出にステップを踏み出せるパートナー探しを目指している。山本化学工業の「高機能マスク」を基に「世界での高機能マスクの着用習慣」につながる取り組みを促進する。
求めているのは、海外での販路開拓のための「販促連携パートナー」、すでにある商品について「常識を覆すようなこれまでにない新しい発想」で需要開拓する「既存商品連携パートナー」、さらにウエットスーツ素材の特性を生かした広く社会の役に立てる商品開発を行う「新規商品開発パートナー」など。応募締め切りは8月31日を予定しているが、応募プランを検討して実現可能性があれば、すぐに事業化を進めることにしている。