コロナ禍で加速するモビリティビジネス 鮮魚店も活用「日本最大級」のプラットフォーマーとは?

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   新型コロナウイルスの影響で客足が遠のいてしまった飲食店事業。感染第2波の懸念が残る中で、オペレーションが従来のままでは、売り上げが従来どおりになることは望めそうにない。

   そんな暗雲たれこめる「ウィズ・コロナ」のなか、光明に擬せられている一つが「フードトラック」。場所を移動して食事を販売するキッチンカーだ。株式会社Mellow(メロウ、東京都千代田区)は、フードトラックの出店プラットフォームを提供して着実に成長を続けているが、感染拡大と前後して、フードトラックのサブスクリプション事業を始めて注目が増した。このほどプラットフォーム提供の対象を食事提供の事業者から幅を広げ、新たなフェーズに乗り出した。どんな会社なのか――。

  • コロナ禍で注目が高まったフードトラック
    コロナ禍で注目が高まったフードトラック
  • コロナ禍で注目が高まったフードトラック

フードトラック業者と営業スペースをマッチング

   メロウは2016年2月の設立。当時オフィス街のランチ難民の救世主として注目を集めるようになっていたフードトラック業者と、公共スペースのオーナーや管理者らと交渉して確保した場所をマッチングする事業を手がけて、成長を遂げてきた。

   フードトラックの営業場所として確保する場所も、オフィス街ばかりではなく、都市部で増えるタワーマンションに付随して設けられたスペースに拡大した。

   東京と神奈川、千葉、埼玉を合わせた首都圏、大阪、兵庫、京都の関西地区と福岡地区の3拠点で活動。契約スペースは約240か所、登録トラックは約850台にのぼる。

   設立直後の2016年6月に「ゼロ」だった実績は、右肩上がりで成長。20年6月の「累積食数」は約395万食、「累積流通総額(総売上食額)」は約28億7000円になった。

   成長の原動力はITだ。メロウが契約したスペースは、企業やマンションに付属するスペースばかりではなく、大学キャンパスなどさまざまな施設がある。それぞれの営業可能日や営業可能台数もまちまち。フードトラックごとのメニューも多彩。事業規模の拡大に応じて、適切なマッチングを続けていくには「ITでなければできない」(代表取締役の森口拓也さん)作業で、学生時代からIT系の起業で成功を遂げている森口代表がリーダーとなって屋台骨を作り上げた。

   そのことを背景に、メロウは「日本最大級のモビリティビジネス・プラットフォーマー」を標榜する。

「機動力」生かして在宅勤務向けのマンションにGO!

東京・豊洲市場の仲卸業者が参入
東京・豊洲市場の仲卸業者が参入

   メロウは2020年6月、これまで作り上げてきたプラットフォームを衣替え。移動販売ビジネスの登録希望者を、フードばかりではなく他の業種にも拡大。プラットフォームの名称もそれまでの「TLUNCH」から「SHOP STOP」に変更。森口代表によると、そのプロセスは「アップデート」という。

   この「SHOP STOP」を活用して、さっそく6月21日から、東京・豊洲市場の仲卸業者がモビリティビジネスに参入。タワーマンションの敷地の一角で鮮魚の移動販売やフードトラックによる弁当販売などを始めている。

   卸売市場をめぐっては同日、改正卸売市場法が施行。これにより、市場事業者に対する第三者販売を制限する規制が緩和され、メロウのプラットフォームが販路の多角化に、いち早く活用された。

   また、新型コロナウイルスの影響で、豊洲市場でも卸、仲卸業者らが小売店、飲食店の営業自粛で販路が細るなど打撃を受けていたこともあって、豊洲の事業者らは、新しいモビリティビジネスに非常に積極的という。

   コロナ禍がもたらした「社会変動」にもメロウでは敏感に対応。4月末には感染拡大で営業自粛を余儀なくされ、業態転換を模索する飲食店向けに、新車フードトラックの5年リースに各種保険や開業サポートを付けた「サブスクリプションパッケージ」を設けた。

   4月以前にも、フードトラックに関する問い合わせは舞い込んでいたが、このパッケージが明らかになった5月には、問い合わせ件数が3倍になった。

   メロウではまた、プラットフォーマーである強みを生かして、テレワークが進みランチ需要を見込めないオフィス街から、在宅者が増えたマンション街に営業場所をすぐ移せるなど、機動性を備えていることをアピール、このことは、フードトラック側からも、マンションの住民らからも好評だったという。

   メロウにとってコロナ禍は、モビリティビジネスのへの新規参入の呼び水や、知名度の向上につながったが、目指すところはコロナ対応ではない。森口代表によれば、アップデートしたプラットフォームである「SHOP STOP」で、さまざま移動販売業者を集め、マンション街での新しい街づくりなどに貢献したいという。

   秋ごろまでには、鮮魚以外の参入者が、新たに顔をそろえる予定。それにより、また構想が練られることになる。

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