今回選んだ銘柄は、東証一部に上場している「コムチュア」(3844)だ。
コムチュアは独立系システムインテグレーター(SI)で、クラウドを中心とした企業向けのシステムのコンサルティング、提案、導入、運用を事業内容とする企業である。
グローバルなプラットフォーマーと連携
具体的な事業内容を見てみよう。主力となるのは、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft、salesforceなどといった、グローバルなプラットフォーマーとの連携によるソリューションの提供や、クラウド環境の構築などを行うクラウドソリューション事業だ。
ビッグデータやAIツールによるデータ分析ソリューションの提供や、RPA(ロボットによる業務の自動化)ツールを使った業務プロセスの自動化なども得意としている。
コムチュアの注目すべきポイントは、好調な業績と財務状況の健全性だ。最新の2020年3月期決算では、10期連続の増収と9期連続の増益で過去最高を更新している。売上高は前年同期比15.8%増。営業利益は、5億6900万円の人材投資や、オフィスの増床、IT投資の増加などに伴う3億300万円の先行投資をしつつも、前年同期と比べて10.2%増となっている。
自己資本比率は75.8%と非常に高く、ROE(自己資本利益率)も19.5%と東証一部上場企業の平均値と比べてもかなりの高水準だ。
2021年3月期の業績予想はというと、売上高、利益ともに過去最高となっており、好調な業績は今後も維持される見込みである。
充実した株主還元と多様な大手取引先の存在が魅力
コムチュアの株価が、新型コロナウイルス感染症の影響が残る状況でも上がると期待できる理由は、来期の業績予想の他にもある。
まず、16期連続の増配計画を実行中であり、配当性向45%以上を維持。安定経営により配当が年4回あるなど、株主還元が充実していることが挙げられる。ポストコロナの相場が予想しづらい状況のため、安定してインカムゲインを得られる株の人気は今後も高まるだろう。
また、主な取引先が業種・業態に偏らない大手企業であるということも評価できる。イオンやソフトバンクグループ、リクルートグループなど、2020年3月末の時点で全936社と取引しているとのことだ。
株価チャートをみると、2020年3月13日に1412円の年初来安値を付けて以降、株価は上昇傾向にあり、6月3日には3105円の年初来高値を付けている。その後は少し下落したが、6月中旬からはまた上昇の兆しが見えてきた。移動平均線を見ても、5日、25日、75日すべて上向きで、あと少しで5日の移動平均線が25日のそれを上向きに突き抜けるのではないかと期待できる。
直近では、6月23日にセンシンロボティクス(東京都渋谷区)と資本業務提携を行うと発表したことが好感され、24日には株価が4.3%上昇した。センシンロボティクスは、ドローンなどのロボットの力により自動化された業務において、画像やデータを収集・分析することでソリューションを提供している。この資本提携により、クラウドサービスとドローンサービスの相乗効果が期待されているのだ。
PER(株価収益率)は40倍以上と決して割安とはいえない。しかし、これまで述べた安定的な強みと業績予想を考えると、まだまだ企業として成長の余地はあるはずだ。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり、AIやビッグデータといった人気のテーマ要素もあるため、次のプレスリリースや決算発表の際に、投資家から更なる注目を浴びて株価が上昇することも考えられる。
これにより、中長期的な視点から、コムチュアは「買い」の銘柄だと判断。6月23日の終値と同じ2790円で100株購入した。
コムチュア(3844)
年初来高値(2020年6月 3日) 3105円
年初来安値(2020年3 月13日) 1412円
株式取得時の株価(2020年6月23日) 2790円
取得株数 100株
【株式取引ルール】
月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
1年間のトータルで損益を競います。
「シューカツに使える企業分析バトル カブ大学対抗戦 Season2」を通じて、財務分析と意思決定の精度を少しでも向上させることができるように、頑張ります。