ノーコストで見て回れるのは学生の今だからできること
◆ 採用の変化
例年、対面で行われていた面接ですが、ご存知のとおり、コロナ禍では、ほぼすべての面接がオンラインで実施されることとなりました。一部選考にグループディスカッションを課している企業があったものの、中止となり、オンラインの「ケース面接」(ある課題について、一定の仮説に基づいて分析し、問題点を特定して解決策を導き出すディスカッション)で代替されていました。
このように、直近の潮流として学生の「地頭」を評価する手段として、コンサルティング業界でも広く用いられている「ケース面接」が、商社業界でも導入され始めたのです。
とはいっても、コンサル業界のそれと違って、商社の「ケース面接」はアイデア発表後の面接官との議論のプロセスを重視していると思われます。ゆえに、たとえ2、3分の短い思考時間しか与えられなかったとしても、委縮する必要はありません。
◆ 就活戦略
面接には気楽に臨めばいいとはいうものの、「一度きりのケース面接で、なにがわかるんだ」と、不安に思う方も多々いるのだと思います。
まさに、おっしゃるとおり! オンラインになったことで、学生のひととなりが以前に比べて伝わりづらくなりました。ゆえにケース面接はあくまでも苦渋の選択にしか過ぎないと言えるでしょう。
では、評価軸として何が今後より重要視されてくるのか、どういった学生が早期選考に案内されるのか――。
端的に言ってしまえば、他業界の難関企業の内定を持っている学生です。各商社は、自社の採用を一部省略化せざるを得なくなった代わりに、他社で評価されている学生を優先的に囲いこむ傾向にあるようです。
それゆえ結論として、採用選考時期が4年の春からと、遅い総合商社を希望される学生の方々は、今のうちにあらゆる業界を見て、可能であれば外資系、日系に限らず内定を保有しておくのがベターかもしれません。
大学の授業もオンラインとなり、時間も捻出しやすいでしょうし、なにより、いろんな業界をノーコストで見て回ることは、学生の身分にある今だからこそできることです。そして、もしかしたら総合商社以外の自分の可能性を、新たに見出すことができるかもしれません。
いずれにせよ、みなさんの成功を心から願っております。(鈴木修二)