仮想通貨(暗号資産)取引所を運営するbitFlyer(ビットフライヤー)は、人気女性アイドルグループ乃木坂46のエースである齋藤飛鳥さんをイメージキャラクターとして起用。テレビCM を2020年6月24日から開始したことを発表しました。
ビットフライヤーは5月にテレビCMを開始したのですが、放送エリアは愛知と岐阜、三重県の3県に絞っていました。しかし、直ぐにタレントを起用したということは効果があったということでしょうか。なんだか、仮想通貨業界が大きく盛り上がりそうな雰囲気を感じます。
そこで、今回は「日本の仮想通貨とCM事情」を解説していきます。
タレントを起用したCMのジングス
ビットフライヤーは、国内の仮想通貨取引所で最初にテレビCMを開始した会社です。仮想通貨ブームの初動である2017年5月に、タレントの成海璃子さんがロシアの民謡に乗せて「ビットフライヤー」を連呼するCMに、見覚えがある人はいるのではないでしょうか。
サービスを紹介すれば良いのに、と思う方もいるかもしれませんが、金融業界は広告規制が厳しいため、社名を連呼するような内容がどうしても多くなってしまいます。
さて、その後は多くの取引所がテレビCMを開始しました。
特に出川哲朗さんの「兄さん教えてよ~」というCMは、仮想通貨の価格が大きく上昇している最中に放送されため、効果抜群だったようです。
ちなみに、2017年12月の国内仮想通貨取引所への入金額は1兆17142121万円 にのぼりました。
参考リンク:「仮想通貨に関する現状報告」一般社団法人 日本仮想通貨交換業協会 2018年4月10日(23ページ)
しかし、その2か月後にCoincheckは約580億円にものぼる大規模なハッキング被害を受けてしまうこととなりました。
CM効果で仮想通貨業界は盛り上がるのか!?
悲劇はそれだけでは終わりません。
ネム(XEM)の取引高が国内トップクラスだったZaif(ザイフ)は、2017年9月に約67億円の資産流出被害が発生。翌年7月には、上場企業であるリミックスポイント傘下のBITPointで約30億円の資産流出被害が発生してしまいました。CMで知名度が上がり、顧客預かり資産が増えたところを、ハッカーに狙われたという流れになってしまったわけです。
仮想通貨の取引高のピーク以降は、DMM Bitcoinが唯一、被害を免れました。これは、基本的に仮想通貨を保管しておくウォレットをオンラインに繋げておらず、外部に繋ぐ際の認証作業も4、5人で行うなど、セキュリティを徹底していたからだそうです。
そんなわけで、国内の仮想通貨業界の歴史上、タレントを起用したCMを行うと、ハッキング被害に遭う可能性が非常に高いというジングスがあるのです。
ジングスはともかく、トップアイドルのCM放送が始まったことから、仮想通貨への興味は高まっているのかもしれません。
bitFlyer ではCM開始と同時に、 齋藤飛鳥さんのサイン入りグッズのプレゼントキャンペーンとフォロー&リツイートチャレンジも始めています。そうなると、何と言っても多くの乃木坂46ファンを取り込める可能性が出てくるわけですよね。
ただ、bitFlyerの公式ツイッターを見ると、チャレンジの一番ハードルの低い5000RTまで6割程度の達成率と厳しい状況となっています。
仮想通貨全体の売買代金も6月末には5~6兆円程度に落ち込み、年初で最低規模となっています。通常は10兆円程度あるのですが、この落ち込みは過去2年間で見ても最低水準です。
トップアイドルをもってしても、仮想通貨ブームを引き起こすことはできないかもしれません。(ひろぴー)