「客はすぐに戻ってくるさ!」勢いを増す広告ボイコットに、ザッカーバーグ氏が「一歩も引かない」理由(井津川倫子)

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「王者」フェイスブック、ボイコットの影響は「ほんの一部」

   それにしてもなぜ、ザッカーバーグ氏はこれほどまでに強気でいられるのでしょうか?

   社員にあてたメッセージのなかで、ザッカーバーグ氏はこう述べています。

We're not going to change our policies because of a threat to a small percent of our revenue
(我々は、ほんの一部の収益が脅かされるという理由でポリシーを変えたりしない)

   な、な、なんと! 400社を超える大規模広告ボイコットも、フェイスブックにとっては「a small percent of revenue」(収益のほんの一部)と言うのですから驚きです。

   実際、いくつかの海外メディアが、今回の大規模ボイコットがフェイスブックの広告収入に与える影響はさほど大きくないと報じています。

   フェイスブックの広告出稿上位25社(2019年度)の中で、ボイコットに参加しているのはマイクロソフト、スターバックス、ファイザーの3社だけ! しかも、上位企業が広告収入に占める割合は極めて小さく、たとえ上位100社がすべてボイコットしたとしても、同社の年間の広告収入のわずか6%にすぎない、との分析です。

   フェイスブック広告収入のほとんどを中小企業の広告が占めています。大手グローバル企業と異なり、限られた予算でやりくりをする中小企業にとって、フェイスブックのターゲティング力や顧客へのリーチ力は「unparalleled」(並ぶものがない)と評価されているそうです。

   さらにBBCによると、いったんは落ち込んだフェイスブックの株価も回復の兆しを見せているとか。今のところ、ザッカーバーグ氏の「一歩も引かない」戦略はうまくいっているようです。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「back down」(撤回、撤退)を取り上げます。

He refused to back down
(彼は撤退を拒否した)

We can't back down
(後には引けないよ)

We can't back down that easily
(そんなに簡単には後には引けないよ)

Don't back down from a challenge
(挑戦から逃げるな)

   新型コロナウイルスで浮き彫りになった社会のさまざまな矛盾や人々の怒り。差別廃止を訴える世論は収まる気配がありません。この先、他ブランドにもボイコットに追随するように求める圧力や、離脱する会員が増える可能性があります。

   数年後に振り返った時、ザッカーバーグ氏の「一歩も引かない」戦略はどう評価されるのか。残念ながら、私には希望の光は見えません。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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