米フェイスブックと傘下のインスタグラムに広告出稿を停止する運動が広がっています。フェイスブック上で差別を助長する書き込みが放置されていることに抗議する「Stop Hate for Profit」(利益のためのヘイトを止めろ)運動が企業に波及。2020年7月1日から1か月間、スターバックスなど大手企業の広告がストップしています。
ユニリーバやコカ・コーラなどボイコットに賛同する企業が続々と増えるなか、最高経営責任者(CEO)のザッカーバーグ氏はさぞかし意気消沈していると思いきや、意外や意外! 従業員に向けて「超強気」な発言をしていたことがリークされてしまいました。
なぜ、ザッカーバーグ氏は逆風下でも強気でいられるのか。その理由を追ってみました。
6兆円が吹き飛んでも「クライアントはすぐに戻ってくるさ!」
「Stop Hate for Profit」運動は、6月から始まっていました。
フェイスブックは以前から、利益を優先してヘイト的な書き込みを放置していると批判されていましたが、白人警官に首を押さえつけられて死亡したジョージ・フロイド氏の事件に関連した緩慢な対応がさらなる批判を呼び、世界中のグローバル企業を巻き込んだボイコットに発展したのです。
今回の広告出稿ボイコットに加わった企業は約430社(7月 1日時点)にのぼり、コカ・コーラ、ユニリーバ、スターバックス、アディダス、マイクロソフト、フォード、フォルクスワーゲン、ホンダ、パタゴニア、ブルーボトルコーヒー、ザ・ノースフェイスなど、誰もが知っている有名企業が明らかになっています。ボイコットはさらに勢いを増していることから、賛同企業はまだまだ増えそうだと予測されています。
フェイスブックの売り上げの98%は広告収入(2019年度)とされており、ボイコットの影響は甚大でしょう。さっそく、米通信社ブルームバーグは、フェイスブックの株価が時価総額で560億ドル(約6兆円)が吹き飛んだほか、ザッカーバーグ氏の純資産は70億ドル(約7500億円)余り目減りした、と報じました。
ところが、世界中を巻き込んだボイコットにさぞかし頭を悩ませているだろうと思いきや、ザッカーバーグ氏は「超強気」な態度を崩していない様子。同氏が社内会議で発言した内容が暴露されるやいなや、その「強気」ぶりに世間が腰を抜かしました。
Advertisers will be back to Facebook 'soon enough'
(広告主はすぐにフェイスブックに戻ってくる)
この「強気発言」を、英国営放送BBCは次のように報じました。
As the ads boycott grows, Mark Zuckerberg shows no sign of backing down
(広告ボイコットが加速するなか、マーク・ザッカーバーグは一歩も引かない:BBC)
「back down」は「撤回」「撤退」という意味。「shows no sign of backing down」は「撤回のそぶりも見せない」、つまり「一歩も引かない」となります。
7500億円もの資産を失っても、連日世界中のメディアでボイコットが報じられても「一歩も引かない」ザッカーバーグ氏。トランプ米大統領の度重なる差別投稿に正面から立ち向かった米ツイッター社の対応と比べると、より一層、違いが際立つように感じます。