混迷の米大統領選 「トランプ敗北」の可能性とそのシナリオを織り込んでないマーケット(志摩力男)

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「トランプ敗北」で株もドルも下落する

   バイデン氏が大統領になると、米国の政策は大きく変わります。

   新型コロナウイルスに対する対応もそうですし、「ブラック・ライブズ・マター」の運動に対してもそうでしょう。富裕層を優遇したトランプ政策は転換され、低中所得層により配慮した政策をとるとみられます。具体的には、バイデン氏はトランプ大統領の税制改革で21%に引き下げられた法人税を28%に増税し、年間所得40万ドル以上の個人に対し増税すると公約しています。

   それらは、長期的には正しい方向性でしょう。しかし、短期的に株価には望ましくない政策です。増税すれば企業収益は低下します。税率が低いうちに株式の益出しに動く人は増えるでしょう。

   米国はコロナ対応もあり、超低金利になっています。これで株価が崩れると、恐らくドルも下落することになります。

   もちろん、大統領選挙までは時間があるので、トランプ大統領が盛り返す可能性はあります。よって、今すぐには「トランプ敗北」を織り込みに行く必要はないかもしれません。しかし、そろそろ十分有り得るシナリオとして考えたほうが良さそうです。

   トランプ大統領の敗北による株価下落とドル下落が、2020年後半のテーマとなるかも知れません。(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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