今秋予定の米大統領選のゆくえが混迷の度合いを深めています。
大型減税を実現するなどほとんどの公約を実現し、再選の可能性が高いと見られていたトランプ大統領ですが、新型コロナウイルスを軽視する姿勢と、ジョージ・フロイド氏の死をきっかけとした「Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)」運動に対する対応が批判を浴び、現時点においては民主党候補のバイデン氏のほうが優勢ではないかと見られ始めています。
米大統領選は「選挙人」の数が勝負
当初、各種世論調査におけるトランプ大統領とバイデン民主党候補の支持率は拮抗していました。定評のある米国選挙サイト「Real Clear Politics」によると、2020年1月15日時点での支持率は、バイデン氏48.2%、トランプ大統領44.2%と、両者の差は4ポイントでした。2020年1月から5月のあいだは、世論調査によって多少の誤差はありますが、概ね支持率の差は4~7ポイント差でした。
ところが、6月に入ってからはその差が開きつつあります。特にトランプ大統領の支持率が下落し、40%を切るようになってきた一方、バイデン氏支持率は好調で50%を上回り、支持率の差が10%を上回るようになってきています。
もっとも、米国大統領選挙は少し特殊です。獲得した選挙人の総数が上回った候補が大統領となるのですが、州ごとに選挙人の数が決まっており、過半数を取った候補がその州の選挙人を総取りするシステムです。
2016年の選挙においても、ヒラリー・クリントン氏が獲得した総得票数は6584万4954票(48.04%)と、トランプ大統領の6297万9879票(45.95%)を大きく上回っていました。
当時の支持率の差は、だいたいクリントン氏が48%でトランプ大統領が45%ぐらいだったので、おおよその支持率の差が反映されています。ところが、実際に獲得した選挙人の数ではクリントン氏227人に対しトランプ大統領304人と惨敗したのです。