緊張感ゼロで東京都の数字を信用しない政府
今回、東京都と政府ともに「経済を優先」をする立場から緊急事態宣言の再発令には消極的な姿勢が目立った。毎日新聞(7月3日付)「再発令慎重『総合的に判断』景気悪化を懸念」は特に政府の緊張感のなさを、こう追及する。
「政府は今回、東京で2か月ぶりに100人を超えても再発令には消極的だ。首相や関係閣僚が対応を協議する『連絡会議』が20分で終了。首相は記者団に『高い緊張感をもって、東京都と緊密に連携していくことが大切』と述べたものの、官邸内に『緊張感』は漂っていない」
という。
その理由は、景気回復の兆しがいっこうに見えないどころか、前日(7月1日)に日銀が公表した6月の企業短期経済観測調査(短観)で、リーマン・ショック級の悪い数字が出たこともあった。毎日新聞が続ける。
「再び緊急事態宣言を発令すれば更なる景気悪化は避けられず、与党内からも『もう一度出すのは無理だ』(自民党幹部)とけん制の声があがる。政府・与党内には東京都の対応への不信感も募る。『東京アラートは小池都知事のおもちゃだ。中身が変わらないのに(緊急事態宣言を出しても)意味がない』(自民党幹部)と懐疑的な見方が強くあった」
そもそも東京都が発表する感染者数に政府の不信感があったというのだ。政府関係者は「感染者の内訳も都は、はっきりさせていない。経路不明と若い人の関連も、情報が出てこないのでよくわからない」と漏らしたという。そんな東京都が発表する数字に、右往左往して再び緊急事態宣言を発令することなどできるかというのが政府のホンネのようだ。