営業自粛期間を経て思うこと
古書店は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、東京都から発表された休業要請の対象に入っていた。4月上旬から解除までの1か月間半、多くの古書店が営業時自粛のためシャッターを下ろし、神保町の町は静まりかえっていたという。
羊頭書房もそのうちの一つだ。「こんなに長くお店を閉めたことはなかったので、戸惑いはありました。自粛期間中はウェブの販売商品を増やしたりして過ごしましたね」
営業が再開した今は、レジの前に飛沫を防ぐビニールが掛けられており、手指の消毒液も置かれている。
「今の状況を受け止めながら、『ウィズコロナ』で上手にやっていく方法を探していきたいです。神保町の街が盛り上がることが、何よりですので」
河野さんは、穏やかに先を見据える。
静かな店内で一つひとつの背表紙に目をうつす時間は、お店に足を運んでこそ味わえる楽しみだろう。何かと気を張るコロナ禍の日々においても、羊頭書店には粛々と穏やかな時間が流れているように感じた。(なかざわ とも)