稚拙で狭い考えだから太平洋戦争の悲劇が起こった
保守系新聞でふだんは文政権に批判的な朝鮮日報も社説「日本は『韓国G7参加』に反対ではなく歓迎すべきだ」(6月29日付)で、日本をこう非難した。
「日本が、韓国の参加を反対する理由が納得できない。日本は文在寅政権が南北和解を優先し、中国寄りの傾向を見せているため反対するという。今、世界はこれまで以上に主要国のリーダーたちが話し合っていかなければならない時期にある。G11体制は、ただ反中国だけのためのものではない。文政権の北朝鮮に対する姿勢が懸念すべきものであることは事実だが、現政権の任期はいくらも残ってない。韓国と政権は区別すべきだ」
そして、こう訴えるのだった。
「日本は長い間、アジア唯一の先進国という自負心を持ってきただけに、韓国が先進国クラブの正式メンバーになって肩を並べることをよしとしないのだ。稚拙で心の狭い考えだ。そうした考えでいたから太平洋戦争の悲劇が起こった。日本政府は名分のない韓国のG11参加反対見解を引っ込め、逆に歓迎して世界の舞台でアジアの発言権を高める機会にすべきだ」
もう一つ、韓国政府が日本政府に激怒する事態が起こっている。それは、今年8月末に行われる世界貿易機関(WTO)の次期事務局長選に韓国政府の高官が立候補を表明したことだ。韓国と日本はWTOの訴訟の場で真っ向から争っているのだ。その事務局長に韓国政府の人間が就任したらどうなるのか。当然、日本側は水面下でつぶしにかかる。それを韓国政府が批判するのだった。
時事通信(6月25日付)「日本政府、韓国の当選を警戒 候補乱立―WTO事務局長選」が、こう報じる。
「韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が6月24日、WTOの事務局長選に立候補を表明した。日本は韓国との間に徴用工問題や輸出規制などの懸案を抱えており、韓国から当選して国際的な発言力を高める事態を警戒。立候補者の情報収集に加え、選挙戦の去就に大きな影響力を持つ米中の動向を注視することになりそうだ。事務局長は近年、先進国と新興国の出身者が交互に選ばれており、次は先進国。経済協力開発機構(OECD)に加盟する韓国は『有資格者』との見方が出ている」
ユ・ミョンヒ氏は、日本の輸出規制問題では、韓国側の交渉の窓口にいる人物だ。韓国は日本の輸出規制が「不当」だとしてWTOに提訴しているのだ。しかも日本にとってまずいことに、次期事務局長候補として有力視されていた欧州委員会のフィル・ホーガン委員(アイルランド)が6月29日に不出馬を表明、一気にユ・ミョンヒ氏が有力候補に躍り出たのだった。
朝鮮日報(6月30日付)「次期WTO事務局長有力候補が辞退、韓国に有利か」が日本の妨害工作を、こう憤る。
「WTO次期事務局長候補として有力視されていたフィル・ホーガン委員が不出馬の意向を明らかにしたことで、韓国産業通商資源部のユ・ミョンヒ通商交渉本部長に有利になったとの見方が出ている。こうした中、日本はユ・ミョンヒ本部長のWTO事務局長出馬に反対して落選運動を繰り広げている。WTOを舞台に韓日戦が繰り広げられているのだ。また6月29日、G7に韓国を参加させようという米国の構想に日本が反対したという外信報道も加わり、韓国大統領府は『日本の恥知らずは世界一位だ』と激怒した」