なぜ、「バイオマス素材30%配合」レジ袋は配っていいの?
こうしたさまざまな思惑が絡み合う中で、7月1日以降もレジ袋の無料を継続すると判断する企業が出始めている。真っ先に「レジ袋無料継続」を宣言したのは、北海道を営業基盤とするコンビニエンスストア、「セイコーマート」だった。同社では、レジ袋を有料化の対象外であるバイオマス素材を30%配合したレジ袋に切り替えることで無料を継続すると発表した。
これに呼応する形で、牛丼チェーン大手の吉野家やケンタッキーフライドチキンも、レジ袋を有料化の対象外であるバイオマス素材30%配合のレジ袋に切り替え、無料を継続すると意思表明した。
このような対応に、利用者側である顧客からはSNSなどで賛意を示すメッセージが多く寄せられている。
しかしその半面、バイオマス素材30%配合のレジ袋は、「これまでのレジ袋よりも価格が高く、2~5倍のコストアップにつながることから、対応は難しい」(個人経営のスーパーマーケット経営者)と、中小の小売店では頭を悩ませている。
大手チェーンと中小の小売店での対応力の差という問題とともに、「バイオマス素材を30%配合したレジ袋で無料が継続したとしても、いずれはコストアップ分が値上げという形で消費者に跳ね返ってくるのではないか」と危惧する声も聞かれる。
そもそも、レジ袋の有料化は安倍首相の海洋廃プラを「2050年までにゼロにする」という目標達成のために実施される。その一方で、バイオマス素材30%配合のレジ袋は、生分解性プラスチックではないため、自然に帰るというものではなく、処分する必要がある。バイオマス素材30%配合のレジ袋でも、川や海に捨てれば、海洋廃プラとなってしまうのだ。
それなのに、なぜバイオマス素材30%配合のレジ袋は無料配布が認められたのか――。じつは、それが定かではない。
海洋廃プラを2050年までにゼロにするのであれば、海に廃プラが入らないようにする、海洋廃プラを除去することが重要であり、レジ袋を「悪者」にしても目標達成は無理だろう。
たとえば、レジ袋を有料化することで小売店のコストダウンになる分を、海洋廃プラを除去する、あるいは海洋廃プラを未然に防ぐための対策に充てる資金にするなど、付け焼刃的ではなく、レジ袋有料化に納得できる方策を打ち出すべきではないか。(鷲尾香一)