スポーツイベントへの影響必須で東京五輪にも暗雲か
もちろん、ジョコビッチの対応は決して褒められたものではありませんが、なぜこれほどまでに、世界中で酷評されているのでしょうか?
新型コロナウイルスの感染拡大で、テニスの大会は軒並み中止になっていました。初夏の風物詩、ウインブルドン大会も第二次世界大会以来の中止に。ロックダウン中は練習すら満足にできずに、先行きに不安を感じていた選手も多かったことでしょう。
ロックダウンが緩和されて、ようやく9月に全米オープンが「無観客」で開催されることになりましたが、かねてから「新型コロナウイルスのワクチン接種に反対する」と表明していたジョコビッチは、厳格な新型コロナウイルスの感染予防対策が義務づけられた場合は「全米オープンに出場するかどうかわからない」と疑問を投げかけていたのです。
皮肉なことに、今回の「集団感染」を受けて、スポーツイベントの開催はより厳しいルールが課せられることでしょう。すでに、8月の全米オープンを予定どおり実施していいのか、という声もあがっています。
全米オープンだけではありません。今回の「集団感染」は来夏に予定されている東京五輪・パラリンピックの開催判断にも影響を与えることは間違いありません。もともとスポーツイベントでの感染拡大リスクは指摘されていましたが、図らずも危険性を「証明」してしまいました。
この先、選手も観客も、健康リスクを冒してまで、疑わしい環境へ移動することにためらいを見せることでしょう。
改めて浮き彫りになった新型コロナの威力は、恐る恐る日常に戻ろうとしていた私たちや、試合再開を待ち望んでいた選手たちに強烈なパンチを食らわせました。スポーツ界全体に影響を与えるであろうジョコビッチの感染。「同情票」が集まらないのも納得です。
それでは、「今週のニュースな英語」は「I am sorry」を使った表現を取り上げます。副詞を使って表現の幅を広げましょう。
まずは、BBCの見出しから「so」を使った表現です。
I am so sorry
(本当に申し訳ありません)
I am deeply sorry
(深くお詫びいたします)
I am extremely sorry
(大変申し訳ございません)
最後に、公式サイトに掲載されたジョコビッチの声明をご紹介しましょう。ジョコビッチの軽率さをいくら非難しても事態は変わりません。緊急事態宣言が解除されても、ロックダウンが緩和されても、まだまだ新型コロナウイルスが存在しているという現実に、覚悟を決めて向き合うしかなさそうです。
Unfortunately, this virus is still present, and it is a new reality we are learning to cope and live with
(不幸なことに、このウイルスは依然として存在している。そして我々はこのウイルスと共に生き、対応しなければいけないというのが新たな現実だ)
(井津川倫子)