使うと恥ずかしい?「ダメ表現」リストがおもしろい
「便利帳」といっても、A5判で124ページ建てというコンパクトなサイズ。研究社らしいといえるシンプルなデザインの装丁で、人によっては頼りなさを感じてしまうかもしれないが、それだけ実用性に徹した表れといえよう。
内容は大きく、「Part1ビジネス・メール」「Part2ビジネス電話」「Part3ビジネス・ミーティング」「Part4ビジネス英語の基本」――の4パートで構成されている。ビジネスでは「記録」が重要なことから、「Part1ビジネス・メール」に最も多く紙数が割かれている。
その「Part1、ビジネス・メール」は、「書き出しフレーズ」から、日本人には不慣れな「日時と数字の書き方」まで、正しい書き方をガイド。また、「社内にはびこるダメ表現」というリストもある。その中には、私たちが「正解」だと思って多用していたフレーズもあり、内心で「教えてくれて、ありがとう」とつぶやくことがあるかもしれない。
「ダメ表現」としてリストアップされているフレーズは、「古い」ことがダメな理由とされていることが多い。たとえば「kindly」。「どうぞ~してください」という意味で「You are kindly requested to...(どうぞ...していただけませんでしょうか)」のように使われるが、英語圏では現在は使われていないという。「Please...」を使うほうが適切なのだ。
たとえば、こんなダメ表現もあった。日本人によるビジネス・メールやレターでは、「Our Mr.Yamada will contact you」(弊社の山田が連絡を差し上げます)と表現されることが非常に多いが、じつはこの「Our+ Mr.(Mrs.)~」は誤り。正しくは「Mr. Yamada, our project manager, will contact you」だ。
著者の生駒隆一さんは、大手エンジニアリング会社で海外営業に従事した後にNTTグループ会社の海外展開に参画。1997年から長期にわたり米国勤務し帰国後はグローバル人材を育成に努めている。
監修者のケリー伊藤さんは、米ミネアポリスのニュース専門局で活躍した経験を持ち、日本では企業研修、執筆活動やオンライン指導を精力的に展開。著書に「英語ライティング講座入門」「英語ライティング実践講座」など、英語ライティング関連で多数ある。
「ビジネス英語便利帳」
生駒隆一著、ケリー伊藤監修
研究社
税別1200円