トランプ大統領を「自宅」から締め出すNY圏3知事
こんなありさまでは、米国のコロナ収束もなかなか厳しそうだ。新型コロナウイルスの抑え込みに成功し、経済活動再開の第2段階に踏み出したニューヨーク市でも経済人の動きは慎重だ。米ブルムバーグ(6月25日)「ウォール街、NY再開第2段階でも職場復帰急がず -9月まで待つ社も」は、こう伝えている。
「シティは7月時点でも出社はスタッフの5%にとどまる見込み。JPモルガンもレーバーデー(編集部注:労働者の日。9月の第1月曜日)後まで20%上回る人員を戻す計画ない。――ニューヨーク市は6月22日、経済活動の再開を広げる第2段階に移行した。しかし主要オフィス街の大手企業の多くは社員の職場復帰を急いでいない」
ブルムバーグは、こう続ける。
「週明け6月22日にシティグループ本社ビルに入ったバンカーはわずか数十人だった。1万3000人余りを雇用するシティは7月に入るまで職場復帰を増やさず、その時点でも出社はスタッフの5%にとどまる見込みだ。ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)は1%に満たない17人しか出社していない。米投資会社ブラックストーン・グループは7月になるまでオフィスを開ける予定はない。カーライル・グループは少なくとも9月まで待つようスタッフに伝えた」
これはコロナの感染拡大の様子を、もう少し見極めたいということのようだ。というのは、ニューヨーク州を中心とした3つの州でニューヨーク圏全体をロックダウンして全米の他の感染州から守る動きがあるからだ。ロイター(6月24日付)「NY都市圏3州、訪問者に隔離義務付け コロナ感染急増の8州対象」が、こう伝える。
「米の多くの州で新型コロナ感染者数が急増するなか、ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカットの3州の知事は6月24日、感染率が高い州から訪れる人に14日間の自主隔離を義務付けると発表した。ニューヨーク州のクオモ知事によると、アラバマ、アーカンソー、アリゾナ、フロリダ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テキサス、ユタの各州が対象。自主隔離措置は6月25日から実施され、初回の違反には1000ドル、違反が繰り返された場合は5000ドルの罰金が課される」
という厳しいものだ。
ちなみに3州の知事はすべて民主党。さっそくトランプ大統領が激怒した。ホワイトハウスのディアー報道官が「トランプ大統領には同措置は適用されない」とコメントした。大統領は民間人ではなく、周囲のスタッフはすべてウイルス検査で陰性が確認されているというわけだ。トランプ大統領は対象州のアリゾナ州から戻ったばかりだし、自宅のトランプ・タワーがニューヨーク市にあるからだ。
(福田和郎)