新型コロナ感染「第2波」に備える
本来、ビールは、シーズンストックにあげられ、冬場の株価が安い非需要期に仕入れて(買って)、夏場にかけて需要が高まる時期(5~6月頃)に売却して利益を上げる業種といわれている。
中国に端を発した「新型コロナウイルス」は先進国をはじめ、多くの国で感染のピークは過ぎたように見える。しかし、感染が収束したと見られていた中国・北京で感染者が増加したことを受け、「第2波」への警戒感が高まっている。
世界各国は人の移動を止めることで、経済活動をストップさせても、感染拡大を食い止めてきた。特効薬のない状況下で、これまでに経験したことのない対応を迫られている。こうした状況のなか、「3密」を避けるために夜の宴会も自粛され、シーズンを迎えても、業務用ビールの需要は大幅減となっている。
6月3日のアサヒGHDの2020年1~3月期の決算発表を受けて、翌4日付の日本経済新聞「回復を探る。コロナ禍と財務」の記事で、勝木敦志CFO(最高財務責任者)がコロナ問題の見通しについて、こんなコメントを寄せていた。
「最低3つのシナリオを考えている。第2波にさほど勢いがないとするメインシナリオでは、9月には収束の気配が見えるだろう」
「ただ、コロナ前の状態には完全に戻らないだろう。高付加価値ブランドを中心にグローバルで価値を創造しようとする弊社の戦略は、受け入れられるはずで、デジタルも活用しながら商品開発やバリューチェーンを変革して行きたい」
銘柄選びのポイントは、「企業の基本戦略がわかりやすいことと、その戦略が投資家の納得を得られること」にあると思う。アサヒビールは、企業基盤がしっかりしている会社だ。新型コロナウイルスの感染「第2波」が到来したとき、アサヒビール株が3800~3900円まで下げることがあれば、今後1~2年先を見据えて、買ってもいいかな、と考えている。(石井治彦)
【アサヒグループホールディングス(2502)】
年初来高値 2020年2月12日 5200円
年初来安値 2020年3月19日 3006円
直近 終値 2020年6月23日 4031円
プロフィール
石井治彦(いしい・はるひこ)
投資歴29年。「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。情報源はもっぱら会社四季報や日本経済新聞、経済誌など。また、株主総会やIR説明会には、できるだけ顔を出すようにしている。
東京都出身、73歳。