力自慢のプロレスラーが真っ二つに引き裂く効用も
そのかわり、よからぬ輩に被害を受けることも多かった。
「高校生の頃、私の名字と住んでいる地域を知った男性が、同じ名字に片っ端から電話をかけて、探し出された。その後からストーカー行為が始まり、親の助けも借りて何とか事なきを得ましたが、すごく怖かったです。一方的に個人情報を開示されていた時代、今思うと考えられないですね」
「旅先で出会ってワンナイトラブでもう一度会いたいからと探し出したオトコを知っている。昔だと大きなNTT(電電公社というのかな)に行けば、他の地域の電話帳も見られたんだってさ。ストーカーしていたかもね」
「そういえば、映画『ターミネーター』も電話帳で『サラ・コナー』を探して片っ端から襲っていたな」
「この間テレビでやっていた映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でもドクの番号調べていましたね。これから先の若い人は映画を見て、あの電話の横に置いてある辞書みたいな本なに? となるのですかね。今の私達が、交換手に繋いでもらう電話が不思議な感じがするように」
また、電話帳には別の効用もあった。
「昔テレビで力自慢をするのに、分厚い電話帳を真っ二つに引きちぎるっていうのがありましたね。プロレスラーのディック・ザ・ブルーザーが来日した時、葉巻をくゆらせながら、分厚い東京都の電話帳をいきなり引き裂いたのには圧倒されました。これからのプロレスラーは、スマホを真っ二つに折るのでしょうかね」
(福田和郎)