無登録の給与ファクタリングは「ヤミ金」と思え!
いずれも法外に高い手数料であることが特徴で、全国各地で被害者が裁判に訴える動きが起こっている。産経新聞(5月13日付オンライン版)「給与担保に資金融通、業者を初の集団提訴」が、こう伝えている。
「給料ファクタリングは違法な貸し付けで契約も無効だとして、利用者9人が5月13日、都内の業者に計約430万円の返還を求める訴訟を東京地裁に起こした。訴状によると、業者側は多重債務者らを対象に取引。3万8000円を融通した数日後に6万円を回収するなど実質年利は最大1400%以上に及び、原告側は『違法なヤミ金融と変わりない』と主張している」
会見した原告の50代男性は「一度手をつけると、自転車操業のようになってやめられなかった」と話した。弁護団は「新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくても、利用すれば破綻するので絶対に手を出さないでほしい」と訴えたという。
国民生活センターは、次のように注意を呼びかけている。
(1)ファクタリング(債権買取)と称していても借金と同じ。給料ファクタリング業者に「貸し付け(借金)に当たらない」と説明されても信じてはいけない。
今年3月、金融庁も「給料ファクタリング業者は貸金業法上の貸金業にあたる」という見解を発表した=図2参照。無登録で給与ファクタリングを業として行う者はヤミ金だから、利用するのは絶対にやめること。
(2)年率換算で数百%~1000%もの高額な手数料を請求されるのは違法である。給料ファクタリング業者に「利息でなく手数料」と説明されても、実態は利息と同じ。貸金業の上限金利は貸金業法や出資法で定められており、例えば、出資法の上限金利(年 20%)を超える金利は刑事罰の対象となる。
(3)勤務先や家族への強引な取り立てが発生している。困っている場合は、自治体の多重債務相談窓口や消費生活センターなどに相談しよう。
もちろん、ファクタリング業者には、企業向けの「本物」のファクタリング業者も存在する。こうした「本物」の事業業者らでつくる「日本ファクタリング業協会」(東京都中央区日本橋、吉野利夫理事長)にも、2019年5月ごろから誤って被害相談が殺到。とんだトバッチリを受けた。
協会ではホームページ上に、「ファクタリング被害110番」という情報コーナーをつくり、全国の被害の実例や訴訟の動き、ファクタリングの本当の仕組みなどを、紹介している。
(福田和郎)