「えっ、テレワークが時間外労働に入らない?!」 三菱自動車「過労自殺」でわかった在宅勤務の罠 どうすれば身を守れるか、労基署を直撃した

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在宅ワーク時間の「点と線」を埋める裏付けが必要だ

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では6月18日、自殺した三菱自動車社員の労災認定を行った三田労働基準監督署労災課の担当者に、「なぜテレワーク部分の時間外労働を認めなかったのか」と電話で取材した。

   「労基署としては個別の案件については答えられない」というので、一般論として、労基署がテレワーク中の労働時間の認定を、どう行っているのか聞いた。

――私も現在1か月近くテレワークを行なっています。もし、私がかなり長時間在宅ワークを行い、それによって体調を崩して会社を訴えた場合、私は時間外労働の時間を、どう証明したらよいのでしょうか。

担当者「まずあなたが主張する労働時間と、会社が把握しているあなたの労働時間の双方の主張を確認します。両方の時間が一致している部分は問題ありませんが、乖離している部分の時間が問題になります。会社があなたの労働時間として認めない時間帯に、あなたが具体的にどんな作業を何時から何時までやっていたのか、詳しく聞いて裏付けを取ります」

――その場合の裏付けとは何ですか。

担当者「まず会社から何時から何時までの間に何をやれという具体的な業務の指示があったのかどうかがポイントになります。また、その仕事の成果として何が残っているのか、『成果物』の有無も重要です。仕事でメールのやり取りがあってリアルタイムに仕事をやっていたと証明ができるか、などです。特に会社からの指示の有無はとても重要です」

――なるほど。他には何が重要ですか。

担当者「メールはあくまで時間の『点』の証明にしかなりません。メールとメールとの間に『線』として、ずっと継続して仕事をしていたという裏付けがあるといいのですが。たとえば、オンライン会議にずうっと参加していたと同僚が証明するとか。パソコンで作業していた時間を証明できるようなものがあるといいのですね」

――それはたとえば、どういうものですか。

担当者「そのようなものがあるかどうかは知りませんが、入力作業の内容、時間をすべてログイン、ログオフとして記録されるシステム、ソフトのようなものを自分のパソコンに入れておくといいかもしれません。それと何時から何時まで何をやったかと詳細に記録しておく仕事管理表のようなものも大事でしょう」

(編集部注:じつは、過労自殺した男性の時間外労働は、三菱自動車の社内システムであるログイン・ログオフデータを元に算出された、と遺族側は明らかにしている。労基署の担当者はテレワークを行う際、そういうシステムかソフトを自分のパソコンにも入れておけばよいと示唆しているようだ)

――在宅ワークをする人に、こうすれば労働時間の裏付けになるというアドバイスはありますか。

担当者「私の立場ではアドバイスはできません。あくまで個別の案件ごとに具体的に裏付けをとって判断していくだけです。テレワークが当たり前になってきていますが、現状では率直に言って、働いていたかどうかの証明は非常に難しいと認識してください」

――やはり最近、在宅ワークの人からの訴えが増えているのでしょうか。

担当者「それについてもお答えできません。ただ、問い合わせに対しては、何時から何時まで継続的に仕事をしていたという『裏付け』になるものと、会社からの具体的な業務指示の有無が非常に重要だとお答えしています」

(福田和郎)

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