日本企業の女性登用は中東諸国並みの低さ
日本経済新聞がこう続ける。
「日本企業側には危機感が広がっている。JR東海は6月23日の総会に諮る取締役候補の女性はいない。『発足当時の労働基準法で女性の深夜労働が原則禁じられており、採用が限定的にならざるを得なかった』と女性を取締役から排除する考えはないことを説明し、株主へ議案の賛成を求めている」
そして、投資家の姿勢が強硬になっていることについて、グラスルイスのリサーチシニア・ディレクター、上野直子氏のこんなコメントを紹介している。
「(日本企業の女性の取締役・管理職比率が低すぎるので)今のうちに社内でも女性の役員となる人材の候補を厚くしてほしいとの意図があります」
ところで、政府は2013年に「女性活躍推進企業統治指針」の中で、「女性取締役」の比率を2020年にまでに全企業の役員の30%にまで引き上げることを目標に掲げた。実際はどうか――。東京商工リサーチが2019年8月に発表した「上場企業2316社の女性役員比率調査」によると、全役員総数のうち女性役員が占める割合は4.9%にすぎない。また、女性役員がゼロの企業も57.6%と、全体の6割近くに達した。
これが世界のレベルに比べると、いかに恥ずかしい状況か。日本経済新聞(2019年3月22日付)「世界の女性管理職比率は27%、ILO調査 日本はG7最低」が、こう伝える。
「国際労働機関(ILO)は、2018年に世界の管理職に占める女性の割合が27.1%だったとする報告書を発表した。日本は12.0%と主要7か国(G7)で最下位。女性のリーダー層への登用が遅れている。地域別では米州が39%と最も高く、アジア太平洋が22.5%、最も低かったのはアラブ諸国で11.1%だった。役員に占める女性の割合はG7ではフランスが37%とトップで、平均では約23%。日本は3.4%にとどまる」
つまり、日本企業の女性が管理職に占める割合は、アジアの平均をはるかに下回り、世界最低の中東諸国にほぼ匹敵するレベルなのだ。