黒人暴行死デモの拡大とそれに伴う新型コロナウイルスの感染第2波への懸念が急速に広がる米国。経済活動の再開とともに膨らんでいたV字回復への期待が一気に後退して、市場はリスクオフの展開に。ドル円相場は一時、1ドル=106円台半ばまでドル安円高が進んだ。
ドル安の動きはすぐさま株価へ。ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は大きく下げ、東京株式市場の日経平均株価も急落。再び2万2000円台に逆戻りした。
どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 2万3000円超えに再び挑む!
日経平均株価予想レンジ:2万1500円~2万2800円
2020年6月12日(金)終値 2万2305円48銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、上値の重い展開か。
前週の日経平均株価は、一時2万3000円台を回復したものの、その後は軟調な展開となり、4週間ぶりに下落した。米国で新型コロナウイルス感染拡大の第2波への懸念が高まり、ニューヨーク株式市場でダウ平均株価(NYダウ)が大きく下げたことや、日経平均株価が2万3000円を回復したことで利益確定売りが活発化した。また、為替相場が円高に振れたことも、嫌気された。
今週の日経平均株価は、上値の重い展開となりそうだ。米国のCDC(疾病管理予防センターが、新型コロナウイルスの感染拡大の第2波に対する警告を発していることで、NYダウが軟調な展開となっている。
加えて、FOMC(米連邦市場公開委員会)が公表した金利見通しで、2022年末まで低金利を維持する可能性が提示されたことから、為替相場でドル安傾向が続いていることが、日経平均株価が2万3000円を「節目」に、上値を重くしている理由とみられる。
15、16日に、日本銀行の金融政策決定会合が開催されるが、金融政策の変更はなさそうだ。
東京外国為替市場 ドル買い材料乏しく......
ドル・円予想レンジ:1ドル=106円50銭~108円00銭
2020年6月5日(金)終値 1ドル=107円34銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルの上値が重い展開か。
前週のドル円相場は、ドルが軟調な展開となった。一時は1ドル=106円台半ばまでドル安・円高に振れる局面もあった。FOMC(米連邦市場公開委員会)の金利見通しで2022年末まで低金利を維持する計画であることが明らかになり、ドル売り材料となった。
今週のドル円相場は、ドルの上値が重い展開となりそうだ。9~10日に開催されたFOMCで2022年末まで低金利を維持する計画が示され、加えて新たな金融緩和策として「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」の導入が検討されていることが明らかになり、ドルの上値を抑える材料となっている。
また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が米国の雇用回復に対して厳しい見方を示したことも、リスク回避のドル売りにつながっており、リスク選好のドル買い材料に乏しい状況だ。
経済指標は、国内では15日に日銀金融政策決定会合、翌16日に黒田東彦総裁が会見。17日に5月の貿易統計と訪日外客数、19日に5月の消費者物価、4月27日と5月22日開催の日銀金融政策決定会合の議事要旨などが予定されている。
海外では、15日に中国の5月の小売売上高と鉱工業生産、16日に米国の5月の小売売上高と鉱工業生産、設備稼働率、17日に5月の米国住宅着工件数、パウエルFRB議長が米下院で議会証言。19日に1~3月期米国経常収支などが予定されている。