オンライン採用、入社後の早期離職を防止が必要
報告書では、さまざまな角度の質問から、採用・就活プロセスでにわかに主流となったオンライン面接の問題点を指摘する。
一つ目は、学生・採用担当者ともにITスキルやオンライン会議のツールへの習熟が必要になるということ。オンライン面接で、志望理由や自分の強みや弱みを伝えることができたと考える学生の大半は、ふだんからパソコンや基本的ソフトに親しんでいたが、そうではない学生では、うまく主張できたと考える割合が低かった。
オンライン面接で「自分の志望理由や強み・弱みを伝えることができた」と考えている学生は、マイクロソフト・オフィスを「ある程度使うことができる」人で43.6%、このソフトを「満足に使え、パソコンを使って創造的な作業をすることができる」人で54.5%だった。
また採用担当者には、ITスキルについて「オンライン面接の案内時に、学生に安定的にアクセスするための情報環境を伝えることができたか」を質問。「できた」と回答したのは、オンライン会議ツールを「日常的に使用している」人で18%、ツール使用の「経験なし・必要な時のみ使用」という人で11%だった。
外出自粛がはじまって以降、ウェブ会議ツールを使ったミーティングなどが広まり、ビジネスパーソンのITスキルが向上。ツールの習熟度が深まったようだが、採用プロセスのオンライン化当初は、学生のほうが経験では勝っていたこともわかった。
さらに対面の面接に比べると、オンライン面接は事務的になりがちで、「働くイメージ」が広がりにくい。採用担当者に面接での手応えを聞くと、対面面接で「学生に入社したい気持ちを高めることができた」と考える人が79.7%なのに対し、オンライン面接では60.3%。また、「学生に、自社で働くイメージをもたせることができた」と回答した採用担当者が、対面面接では78.8%だったのに対し、オンライン面接は55.1%と、23.7ポイントもの差があった。
報告書は、「会社のイメージを持てないままだと、入社後の組織社会化に影響を及ぼすぁ脳性がある」と指摘。
「就職するにあたって、学生はより志望企業で働くイメージについて情報が必要になる!」
「採用担当者は学生の入社後の早期離職を防ぐため、自社で働くイメージ付けに関する工夫が必要!」
と訴える。