【襲来!新型コロナウイルス】高市総務相「マイナンバーに1口座ひもづけ」はドサクサまぎれの悪だくみか、それとも名案...? 主要紙で読み解く

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毎日「政府の狙いは全口座義務化」日経「日本は資産隠し多すぎ」

マイナンバーカードの普及率は15%だが...
マイナンバーカードの普及率は15%だが...

   毎日新聞「マイナンバーひもづけ 政府、最終目標は全口座義務化 1口座で『前進』図る」は、「政府は給付金の支給迅速化を大義名分に一部の義務化を実現して、全口座義務化という最終目標に駒を進める構えだ」と、問題点を指摘する。

「政府は当初、全口座ひもづけに動いた。1960年代に佐藤栄作内閣が個人情報を一元管理する『国民総背番号制』の導入を目指して以来の『積年の課題』(首相官邸幹部)を実現できれば、年金・社会保険の保険料徴収や、年金・給付金の支給などのマイナンバー制度本来の目的に近づく」

   だが、そこへ黒川弘務・東京高検検事長の賭けマージャン事件が勃発。内閣支持率が急落し、過去の長期政権でもできなかった制度の実現は困難になった。

「結局、高市氏は1口座の登録義務化を先行させることを決め、安倍首相の了承を得た。1つ口座のひもづけを確実に行うことで、給付金のスピード支給を優先させた。そのうえで高市氏は、任意の『全口座ひもづけ』を推進する方針だ」

   そして、最終的には佐藤栄作内閣以来の悲願である「全口座ひもづけ義務化」の動きにもっていこうと狙っているのだという。

   朝日新聞、毎日新聞ともに識者のコメントを載せて、こうした政府の狙いを批判している。

   個人情報に詳しい水永誠二弁護士。

「政府がこれから先、マイナンバーをなるべく多くの口座とひもづけていく導入口に見え、義務化は問題点が大きい」(朝日新聞)

   大和総研金融調査部の是枝俊悟研究員。

「行政から一方的にお金が引き落とされないにする仕組みづくりで工夫が必要だ」(毎日新聞)

   一方、日本経済新聞は積極的に義務化を推進したい論調のようだ。「マイナンバー登録、1人1口座方針 迅速な現金給付めざす 公平な社会保障に遅れも」という見出しの記事では、いかに日本では「資産隠し」を行う国民が多いかと、批判している。

「高市総務相が(マイナンバーへのひもづけを)1口座に絞ったのは、全口座のひもづけに対し、個人事業主らが反発しているためだ。与党からは『国に資産状況をガラス張りにされたくないという支持者の反対が強い』との声が相次いだ。金融機関は全口座のひもづけが進めば、海外の銀行に預金を移す顧客が出てくるとの懸念を政府に示していた」

   日経によると、日本国内の個人の預貯金口座数は約10億にものぼり、国民1人あたり10口座も持ち、世界でも突出して多い。資産を分散してわからないようにしている人が諸外国に比べ、非常に多いのだ。同紙はこう続ける。

「他の先進国では政府が個人の各口座を把握することで、生活に困窮している人を特定して支援できる。日本はこうした仕組みづくりが遅れている。全口座のひもづけの遅れは、税や社会保障の公平な運用にも影響する。生活保護制度では国が資産状況を正確に把握できていないため、収入は少なくても資産を保有している人が対象に含まれる課題が指摘されてきた」

   そして、こう結んでいる。

「番号制度を使った行政の効率化は欧州が先行している。スウェーデンなどでは番号を通じて収入データを国が把握し、国民の確定申告の手間はほとんどない。エストニアでは個人番号カードでほぼすべての行政サービスをネットで受けられる」
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