新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、この3月からはじまった「巣ごもり生活」で生じた悩みの一つに、「コロナ太り」がある。
それは、おそらく生活環境が変化したせいに違いない。本書「医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた」は、一念発起して減量に挑み成功した著者の体験記だが、成功のカギは、環境を変えたことだった。
「意志」だけでは決してやせられないことに気づいたという。
「医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた」(朽木誠一郎著)KADOKAWA
最初のトライは無理がたたりリバウンド
著者の朽木誠一郎さんは、群馬大学医学部医学科卒で、朝日新聞の医療担当記者。専門家に取材して得た知見を活かし、自ら実践してわかったダイエット成功の道筋を、医療の専門家らしくエビデンスを紹介ながら解説する。
「デブ」を理由に彼女にふられたことから、説き起こされる減量ストーリーは、ペーソスが散りばめられ、ダイエットノンフィクションとしても楽しめる。
「やせる」ことを条件に「彼女」と付き合い始めて1年半。条件をクリアしようと努力することもなく過ごし、体重は増えて110キロになっていた。あきれた彼女は同棲していた部屋を出ていってしまい、ここで著者はやっと本気モードになる。
食事は豆腐と果物だけ。頭に糖分が回らず鈍くなってきたのを感じるとブドウ糖のタブレットを口にした。補助食に野菜ジュースや酵素ドリンク。仕事を終えて0時を回ってからジョギングもした。そして1か月ほどして体重は10キロ以上減った。
「やればできる」ことを彼女にアピールしたが時すでに遅し。「報われなかった努力」に食欲が暴走し体重はすっかりリバウンド。それどころか、元の記録を上回って115キロにまでなり、体脂肪率は34%と体の3分の1が脂肪という状態になってしまった。