こんにちは。ひろこです。
今回は「質問箱」にいただいた質問にお答えしたいと思います!
お寄せいただいたプロフィールによると、50代男性のMYさん。単身で、おすまいは賃貸。年収は300万~500万円ですが、現預金で5000万円、金融商品で1億円の資産をお持ちです。
そんなMYさんですが、資産運用の経験はまったく初めて。なのに、証券会社で買い付けた5000万円の仕組債が2本。償還が2021年2月と3月にあるそうです。日経平均株価と米S&P500指数の、どちらか低いほうで償還される仕組みで、
「コロナショックの影響で、すでにノックインしてしまい、元本割れの膨大な損失にどうしようかと狼狽する毎日です」
と、沈みがち。「投資初心者として、いろいろ反省しています。つらいですが、数千万円の予想損失を、向こう3年くらいで補填する投資とその心得について、ご教授いただければ大変うれしく思います。元気を取り戻し、前向きに生きたいです」と、綴っています。
ノックインで不安は広がるけれど......
仕組債で、すでにノックインをしてしまっているので、まだ償還までは日にちがあっても、大きな損失が出る可能性が高く、不安に思っていらっしゃるのですね。
正直、投資経験が浅い方に仕組債を販売するというのは、ちょっと疑問に思います。私が働いていた銀行には証券子会社があったので、仕組債の販売にも携わってきました。そもそも、仕組債という商品は最低ロットが5000万円からと高額なので、その商品自体のリスクが小さかったとしても、損失額は大きくなってしまいます。
商品設計も複雑なので、どちらかというと投資に慣れた経営者の方や大口の資金を運用している法人への販売がメインの商品でした。ノックインしなければ問題ないのですが、コロナショックのような「ショック相場」でノックインしてしまうと、一気に不安になってしまいますね。
償還までに、日経平均株価、米S&P500指数が暴騰すれば、損失額は少なくなるので、今後の相場に少し期待したいところではあります。
しかし、損失が出ると仮定して、今から今後の方針を考えておくことはとても大切です。頭の中では損失額にこだわってしまうかもしれませんが、損失額を取り戻したいという思いを強く持ちすぎると、逆にさらに損失を出してしまうような運用をしてしまうことがよくあります。
一たん損失額は頭から離して、今の資産での運用を、冷静に考え直してみることが大切だと思います。 現在、MYさんは預金が5000万円あり、収入も安定されているようです。単身なので、生活費もそれほどかかるわけではありません。正直、今の資産状況でも十分だと思われます。しかし、どれくらいの資産があれば不安に思わないか、は人それぞれです。
MYさん自身が今後資産運用をして、お金を少しでも増やしていきたいと思われるのであれば、できるだけ無理をしない程度で投資していくことをオススメします。
今の預金から、新たにまとまった金額で投資をするのは不安ですよね。今考えることは、償還されたあとの資金を、どのような投資商品にしていくかを考えることが必要だと思います。
※ 仕組債
スワップ(金利や通貨を交換する取引)やオプション(あらかじめ約束した価格で、将来に売ったり買ったりする権利)などのデリバティブ(金融派生商品)と、一般的な債券(プレン債)を組み込んだ「仕組み」をもつ債券。
※ ノックイン
株式指数などの価格が、あらかじめ設定されている水準(ノックイン価格)を一度でも下回った場合に、投資した元本よりも低い価格で債券が償還されることがある条項。元本が棄損するリスクが高まる。