新型コロナウイルスの影響による企業倒産が200件を突破した。帝国データバンが2020年6月3日16時現在で214件を確認した。同日の発表。
緊急事態宣言による外出自粛や休業要請などの影響で、企業の資金繰りの悪化が進行しており、増加のペースに加速度がついている。
100件まで61日、200件まで35日......
214件の「コロナ倒産」の内訳を業種別にみると、「ホテル・旅館」が39件、「飲食店」28件、「アパレル・雑貨・靴小売店」17件、「食品製造」15件、「食品卸」12件、「建設」8件など。都道府県別で10件以上だったのは、東京都の49件が最多。北海道と大阪府が各18件、兵庫県と静岡県が各13件と続く。茨城、福井、和歌山など8県は、ゼロ件だった。
負債総額は1534億6900万円(調査中を除く210件の合計)で、5億円未満が154件で全体の73.3%を占めた。50億円以上の大型倒産は8件(構成比3.8%)。
帝国データバンクによると、新型コロナの関連倒産が初めて確認されたのは、「くりやまコロッケ」で知られる食品製造会社の北海道三富屋(北海道栗山町)で2月26日。「さっぽろ雪まつり」の外国人観光客が伸び悩み、近隣商業施設の店で集客できず資金繰りに行き詰った。
それ以降、確認ベースで累計件数が100件に達したのは4月27日。この間は61日だったが、その後200件に達するまでは35日しかたっておらず、発生スピードは1.74倍と2倍近くに加速している。
「事業継続に見切りつける」経営者が相次ぐ可能性も......
倒産件数が150件に達した5月15日には、東証1部上場のアパレル大手、レナウンが民事再生法の手続き開始決定を受け、上場企業として初の新型コロナ関連倒産となった。中国の関連会社への多額の売掛金の回収が困難になっていたことや、主力販売先である百貨店が休業して売り上げが減少したことが要因だった。
帝国データバンクでは、この「レナウン・ショック」を引き金に、さらに大手・上場企業の法的整理や再編が続けば、下請け企業などの連鎖倒産の呼び水になる可能性を指摘している。
緊急事態宣言は5月25日に全国にわたって解除されたが、それまでに醸成された警戒心の影響は大きく、また第2波への懸念もある。飲食店や小売店、観光地などでの客足が戻るには相当の時間を要することが予想される。
昨秋の消費増税後の消費後退に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大が追い討ちをかけたことで、帝国データバンクは、「客足が改善しない場合には、事業継続に見切りをつける経営者が相次いでもおかしくはない」と指摘している。