「いつかマスクを外した顔をお客さんに見せたい」
数日後、水商売協会のメンバーは怒りの記者会見を開いた。5月24日付の東京新聞は、「水商売協会 クラブのママら窮状訴え『生きていけない、休業いつまで』」の見出しで、こう伝える。
「『じゃあ私たち、一体どうやって生きていけばいいんですか?』。クラブのママやキャバクラ嬢らがマスク越しに声を上げた。日本水商売協会が都内で会見を開いた。『バブルがはじけた時もリーマン・ショック時も、何とかくぐり抜けてきた。でも今回は苦しくて仕方がない』銀座で4店舗を経営するママ、望月明美さんが窮状を訴えた。百人の女性を抱え、シングルマザーも多い。LINEで励まし合う日々だが、読んだことを示す『既読』が付かない女性が日に日に増える」
水商売協会代表の甲賀香織さんは、
「家賃が払えず東京を去ったり、経済的な苦しさから、性風俗で働き始めたりする女性が出てきている。営業が再開できた時には店が半分ほどに減っているおそれもある」
と訴えた。
日本感染症学会の医師の監修で、独自にガイドラインを作成。保健所から要請があれば情報を提供するなど、客のプライバシー保護を優先してきた業界にとって画期的な内容になった。だが、ガイドラインを評価したのは千葉県だけで、東京都は1か月以上返答がなかった。
「名古屋市で13年間キャバクラ嬢をしてきた小川えりさんは、『キャバ嬢もマスクして接客してあたり前って感じに変わらないといけない。業界が変わるチャンスだと思う』と真剣な表情だった」
また、キャバクラ店を経営する愛沢えみりさんは「営業中にマスクを外すわけにはいきません。いつかマスクを外して『こういう感じの女性だったのか』という日が来るのを楽しみにしてもらいたいです」と話していた。
ただ、こうした水商売協会の代表たちは休業要請を守っている立場だ。守っていない業者が多いのが現状だ。今回の「東京アラート」に関する水商売業界の動きに関して、ネット上では冷ややかな声が多い。
「新宿の接待の店で20代の連中が9人もクラスター発生させているのが分かった。休業要請にも関わらず営業していたということだ。こうした店には見せしめも必要だ。営業許可証取り上げるべきだと思う」
「クラスターの原因がある程度わかっている以上、そこに強い対応を取ってほしい。店名公表とか感染者を出したということで、食中毒の時のような保健所の立ち入り検査とか、強い措置が取れないのだろうか」
しかし、こんな擁護の声もある。
「店側が営業するのは自由はずだ。問題はそこにいく客だ。客側はよく行くよな。リスクとリターンが全然釣り合わない」
「前と同じで東京でダメならススキノや中洲、大阪とか夜の仕事をしている人たちは他の地方にまた流れて感染を増やす可能性ある。東京だけ押さえ込んでも意味がないよ。夜の接客業を休業にするなら一斉に全国でやらないと効果がないと思う」
「勝手に営業を再開しているパチンコ店と同じだ。休業してほしい店がギリギリに追い込まれて営業している。店名公表だけでは防ぎきれない。国を始めとした行政の対応が不十分ということだろう」
そして、こんな指摘も。
「接待の飲食店がやり玉にあがっていますが...。誰も言わないけど、(感染経路不明の)人に言えない店って出会いカフェだと思うんだよな。自粛中もずうっと営業していたし、援助交際にもつながり、強烈に濃厚接触だもの」
「出会い系とか、あとは不倫とか。絶対に言い出せないだろうなあ。けどずるいよね。それくらいの覚悟持ってそういうことしろよって思う」