新型コロナウイルスの第2波感染が懸念されるなか、企業は「新しい生活様式」への対応を進めている。その中で、これまで宅配の荷物の受け取り用として使われてきた「宅配ボックス」が、コロナ禍で転じて、小売店やスーパー向けに商品の「受取ボックス」として新しい使い道が拓けた。
消毒液をケアするニーズに対応、フェイスシールド多様化
●「非対面、非接触」の買い物をサポート
宅配ボックスの運用・管理を行っている株式会社フルタイムシステム(東京都千代田区)は、小売店やスーパー向けに「スマートピックアップロッカー」を開発した。ネットで注文を受けた商品を、店側がロッカーに入れ、利用者はいつでも好きな時間に受け取りが可能な、「非対面、非接触」の買い物をサポートする。2020年6月1日の発表。ウィズコロナ時代を想定した「新しい生活様式」に合わせた。
スマートピックアップロッカーは、同社の宅配ボックスのシステムを応用。店舗などに設置する受け取り専用のロッカーに仕立てた。利用者はネットスーパーなどで購入した商品を、店頭あるいは所定の場所に設置されたロッカーで、いつでも好きな時間に受け取ることができる。ロッカーは冷蔵、常温などニーズに合わせた環境設定ができる。
利用者は、店側からメールやSNSなどで商品の入庫の知らせを受け取る。取り出しには、暗証番号、QRコード、ICカードなどを使用。「非対面。非接触」のほか、同社ではレジ待ちの時間短縮、密集回避のサポートにもなるとしている。
●Withコロナに欠かせぬ「消毒液」を守る
小売・量販店向けに、さまざまな用具の企画・開発・販売を手がける日研工業株式会社(東京都豊島区)は、盗難防止機能を備えたアルコール消毒液専用ボトルスタンドを開発。6月2日に販売を開始した。
マスク着用や手洗いと並び、手指消毒が新しい生活習慣として定着しつつあるなか、公共用に設置された消毒液がボトルごと盗難被害に遭うなどの問題が少なからず発生している。同社では、設置した消毒液の管理や盗難被害に悩む顧客らから寄せられた声に応えた。
日研工業のボトルスタンドは、ワイヤー構造で、黒く塗装したスチール製。重さ2.5キログラム。コンパクトな省スペース設計で、設置や移動が容易にできる。さまざまなサイズのボトルに対応しており、平台と異なりボトルが転倒することがなく、液ダレの清掃など管理を省力化できるようにした。
●建設現場のニーズに応えたフェイスシールド
緊急事態宣言が解除されて、さまざまな事業活動が再開されたものの、感染予防のツールとして需要が増しているフェイスシールドは、ニーズの多様化に応じてバリエーションが増えている。
アミューズメント機器の部品製造を行う株式会社 NAITO(ナイトー、愛知県みよし市)は、建設現場で働く人向けに、ヘルメットなどの保護具着用時でも装着可能なフェイスシールドを開発し、販売を始めた。6月20日の発表。
さまざまな建設現場で業務が再開。しかし、いずれの場所でも感染リスクを避けながらの作業になる。NAITOではこれまで生産してきた医療従事者向けフェイスシールドを、ヘルメットや帽子などの着用が義務付けられている建設現場の従事者用に改良。頭部保護具の着用時でも装着できる製品をそろえた。
既製品のシールドにスリットを加え、ヘルメットの庇(ひさし)を通すようにしたほか、通常使用時とヘルメット使用時で装着部のサイズ調整を可能にした。また部材の共通化を図り、生産コスト低減に努めたという。
社名や企業スローガンなどの名入制作の相談にも応じる。