マナーは他人を思いやる気持ちに表れる 日本人らしいアフターコロナ時代の「成功」がここに!

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   春の「お受験」対策、婚活用にと2020年2月に発売された、本書「『育ちがいい人』だけが知っていること」が売れている。版元のダイヤモンド社によると、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言中も、マナー本としては異例の売れ行きで、2020年5月に入って重版が決まった。

   なにやら挑戦的なタイトルではあるが、その内容は、現代人が心得ておかなければならないマナーの解説本だ。新型コロナの影響でライフスタイルが変わり、経験がない環境でマナーを確認する必要が生じたことも、本書のニーズを高めたようだ。

「『育ちがいい人』だけが知っていること」(諏内えみ著)ダイヤモンド社
  • 「育ち」がわかる……
    「育ち」がわかる……
  • 「育ち」がわかる……

「オンライン婚活」にもマナーがある

   新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、マスクの着用が求められるようになる一方、咳やくしゃみのときには手のひらを口に当てず、腕で口元を覆うことが推奨されるようになった。口に当てた手でどこかに触れると、そこから感染が広がる可能性あるからだ。

   3月、いち早く学校などが休みとなり、緊急事態宣言が発令される前後からは自宅待機、テレワークが拡大。「出勤」「通学」が当たり前のライフスタイルは「ステイホーム」という巣ごもりに一変した。しかも、コロナ禍という未経験の環境のなか、買い物や子どもを連れた公園への散歩なども、それまでとは勝手が異なり、マナーの確認・再確認を迫られた人も多かったに違いない。

   コロナ禍と本書の好調さとの因果関係はわからないが、ステイホームの機会を利用してマナーを学ぼうとした人が多かったことは確かなよう。緊急事態宣言が発令されてから、著者でマナースクール代表の諏内えみさんは、ウェブ会議システムを使ったオンライン講座を始めたが、本書の好調に呼応するように盛況という。

   新型コロナの影響で、婚活も今後はオンライン中心にシフトするとみられ、諏内さんは、スクールで人気の婚活プログラムをオンラインでも開講。ウェブ会議システムでの「カメラ映り」や「電話のかけ方・切り方」といったオンラインお見合いのコツを実践的に指導するのも、人気を呼んでいるという。

靴の脱ぎ方一つでわかる「育ち」

   本書が人気を呼んだのは、婚活などで参考になるからというばかりではなく、タイトルの印象とは違って、「マナーをきちんと知ることで、『育ち』を変えられる」ということがメッセージにあるから。

   たとえば、訪問時に靴を脱いで中に上がる際の、その靴の脱ぎ方で「育ち」がわかってしまうと指摘。「多くの人は正しい脱ぎ方を知らず、無意識に間違った脱ぎ方をしている」という。それが、上がる前にくるっと後ろを向き、脱ぎながら靴をそろえ上がってしまうやり方だ。

   礼をわきまえた作法は、建物の内部を向いたまま上がり、上がったら体の向きを変えてひざを折り、靴の向きを変えてわきによせる。本書では、こうしたふだんの暮らしの中で「育ち」が表れるポイントを250の例で紹介し、その正解を解説している。

   新型コロナウイルスの感染対策をめぐって日本は当初、海外からの批判にさらされたが、緊急事態宣言の期間を経たのちは、感染死亡率が外国に比べて極めて低いことから、今度はその「成功」が注目の的となった。

   海外のメディアはその要因として、日本人の規範意識や衛生意識の高さのほか、他人を思いやる気持ちが強い文化、つまり、マナーを重視する国民性を挙げている。その伝(つて)でいくと、本書はアフターコロナでの「成功」に資する一冊といえそうだ。

「『育ちがいい人』だけが知っていること」
諏内えみ著
ダイヤモンド社
税別1260円

姉妹サイト