みなさん、こんにちは。丸ノ内ミカです。コロナ禍による影響はさまざまなことに及んでいますが、最近話題となっているのが「コロナ離婚」。文字どおり、コロナによる在宅勤務、外出自粛などで、夫婦ともに自宅で過ごす時間が増えたことが原因で、離婚に至るほど関係が悪化してしまう現象です。
ネットではコロナ離婚について、
「コロナで離婚するくらいの夫婦はもとから関係が良くなかったはず」
「離婚をコロナのせいにするのはおかしい」
という意見が目立ちます。
確かに、コロナはきっかけに過ぎなかったのかもしれません。とはいえ、初めから離婚を念頭に結婚する人はめったにいないはず。ましてや離婚は、結婚の何倍もエネルギーを費やす大仕事です。できれば不用意な離婚は回避したいですよね。
激動の時代を生き残るためのスキルを策定していく「丸の内サバイバー女子会」で、コロナ離婚に象徴される「結婚の危機」をどう乗り切るか? を考えてみました。
娘の結婚祝いに「法律の本」を贈った母
先日、「丸の内サバイバー女子会」のオンライン飲み会で、ある女性がこのゴールデンウイークに予定していた結婚式を延期した、という話をしました。
「このご時世だから仕方ないよね」という、みんなの一致した反応がありましたが、こんな展開に......。「先の楽しみが増えたと思って、結婚祝いは何が欲しいかリストアップしてみたら」との誰かの発言に、そこから自分が結婚した時は何をもらったか、あるいは友人の結婚祝いに何を贈ったか、といった話題に移りました。
「写真立て」、「ペアグラス」、「プリザーブドフラワー」など口々に出てきた中で、N奈さんが、「私のは変わってるんですけど。私が結婚するときに、実家の母が『法律の本』を結婚祝いにくれたんです」。
異色のコメントに、「え、何それ?」とオンライン画面がザワザワしました。N奈さんは今年で結婚16年目のアラフォー女性。3歳上の旦那さんと、中学2年の娘さんとの3人家族です。独身時代の仕事は妊娠を機に辞め、娘さんが中学生になった昨年から、派遣社員として再び働き始めました。
オンライン飲み会の自己紹介でも、「長らく専業主婦だったので、あまりこういうのに慣れてなくて」と控えめだったN奈さん。そのN奈さんからの意外な話に、みんなの関心はN奈さんに集まりました。
「母から結婚祝いをもらったのは、挙式を控えて、新居に私の荷物を運び入れてるときでした。母から、『これはN奈が結婚するときに贈ろうと思って』と『女性のための法知識』という本を渡されたんです。正直、かなり引きました。だって挙式を控えてる時ですよ。お勤めしながら、会社帰りにお料理習ったりパン教室に行ったり。着物が好きだったので、貯めてたお金で訪問着を作って、来年のお正月にはこれを着て主人と二人で初詣したいな、とか。素敵な家庭を作るぞと夢いっぱいの時に、『法律の本』って。お母さん、私が離婚すると思ってるの? 縁起でもないもの渡さないでよって、思わず母に突っかかってしまったくらいです」
勃発!離婚騒動 そこでわかった母の真意
母からは、「そういう意味で渡したんじゃないの。長い結婚生活にはいろいろなことがある。その時に法律のことが頭にあったら、N奈が救われるかもしれないし、N奈が法律の知識を持っていることが、二人の結婚生活を救うかもしれないのよ」と言われたのですが、20代のN奈さんには理解できず、お母様からの結婚祝いは「無粋としか思えなかった」と言います。
しかし、その後にお母様の真意がわかったと、N奈さん。こう続けました。
「結婚して5年目に、主人に社内異動があったんです。望まない異動だったみたいで、そのことで彼がかなり落ち込んで、そのうち生活態度が荒れてきたんです。それまで順調だった人だったから、余計にダメージが大きかったのかもしれません。前には言わなかったようなキツイ言葉を私に言うようになったり、それで子供が怯えて泣いたこともあって......。」
初めのうちはご主人の変化を、近いうちに落ち着くと思っていたというN奈さん。しかし、ご主人の精神的な落ち込みは思っていた以上に大きく、そのことでN奈さんたち家族も、一時期非常につらい時期を過ごしたといいます。N奈さんは母として子供の心をケアするために、場合によっては「別居」や「離婚」もやむを得ないかも、と思ったこともあったそうでした。
「とはいえ、私も結婚前には会社勤めもしていたので、予想外の異動や環境の変化で動揺してしまった主人の気持ちも、まったくわからなかったわけではなかったですし、子供もいますから、ちょっと揉めたからといって、短絡的に離婚するわけにはいきません。私も主人も、お互い今の生活に責任があります。
そのとき母からもらった『法律の本』のことを思い出したんです。その本には、女性が結婚生活のうえで身を守る法律についてわかりやすく書いてありました」
浮き足立っている状態で考えがまとまるわけがない!
「法律の本を開いて、ふと気がついたんです。結婚は気まぐれな遊びではなくて、法的なものだと。私のそういう冷静さっていうか、気迫みたいなものが、主人にも伝わったのかもしれません。彼もようやく冷静さを取り戻してきて、私と子供に不快な思いをさせたことを謝罪してくれて、その後は二度とそういうことはありませんでした。私も、自分だって予想外のことに見舞われたら平静でいられなくなるかもしれませんので、主人のその時の弱さを、それ以上責める気にはなれませんでした」
N奈さんは、もし「法律の本」を読んでいなかったら、感情的になって、売り言葉に買い言葉で子供の前で喧嘩したり、追い詰められた彼がさらに感情的になってしまったりして、夫婦関係が悪化していたかもしれないと、振り返ります。
「あとにも先にも結婚の危機はそのときくらいでしたけど、大げさですがあの本が私の結婚生活を救ってくれたと思います。もしかしたら母は、私がパン作りとか着物とか、なんかそういう夢みたいな家庭生活というか、結婚生活のキレイなところだけしか見てなくて、フワフワしてたので、それだけじゃダメだよと、あえて憎まれ役をやってくれたのかもしれません。
結婚祝いにはいろいろなものを頂きましたし、どれもみなさんのお心遣いがうれしかったですけど、やっぱり一番良かった結婚祝いは、母からの『法律の本』でしたね。感情的になりそうなときに、その本が支えになりました」
N奈さんはそう言って、オンラインの画面から穏やかな笑顔を見せてくれました。
もうおわかりですね。長い結婚生活には、愛情と同じくらい、「冷静さ」というのも必要なのです。
会社での旦那さんの異動が原因で、結婚前には予期していなかった夫婦のトラブルに見舞われたとき、N奈さんには『法律の本』という「冷静さ」を取り戻すきっかけがありました。それがなかったら、場合によっては自分を見失っていたかもしれません。
賢いサバイバー女子の皆さんは、「愛情」と「冷静さ」は、結婚生活における両輪のようなものとおわかりいただけたと思います。今回のコロナ禍もそうですが、想定外のアクシデントに見舞われた時に、「冷静さ」を取り戻す手立てを、身近に持っていることが大切なのです。
【きょうの格言】 「愛情」と「冷静さ」は結婚生活の両輪と知るべし!
それでは、また次回!(丸ノ内ミカ)