えっ、人手不足じゃなかったの? 新型コロナで企業の人手が「過剰」に!

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   新型コロナウイルスの感染拡大による「自粛生活」の影響で、企業の雇用状況が激変している。

   2019 年度の人手不足倒産が前年度比14.8%増の194 件となり、6 年連続で過去最高を更新するなど、人手不足の深刻化が取り沙汰されてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で企業の人手不足感が一変し、急激に低下していることがわかった。帝国データバンクが「人手不足に対する企業の動向調査(2020年4月)」を、5月25日に発表。人手が「過剰」とする企業の割合が増えている。

   たとえば、「旅館・ホテル」はインバウンド需要に支えられて人手不足の状態が続いていたが、海外との渡航制限や都道府県をまたぐ移動の自粛要請などの影響で宿泊客が大きく減少。業務量が減ったことで、人手が「過剰」とする割合は正社員、非正社員ともに全業種で最も高くなった。

  • 新型コロナウイルスの影響で、雇用環境も激変している
    新型コロナウイルスの影響で、雇用環境も激変している
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正社員の人手「過剰」は21.9%、前年比13.5ポイントと大幅増

   調査によると、企業に現在の従業員の過不足状況を聞いたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員が「不足」していると答えた企業は31.0%で、前年同月と比べて19.3ポイント減少した。4月としては4年ぶりに4割を下回り、人手不足の割合は大幅に減少した=下図参照

   一方、人手が「過剰」と答えた企業は21.9%で、13.5 ポイントと大きく増えた。「適正」と回答した企業は47.2%で5.9ポイントの増加。企業の半数弱は、現在の人手が適正であると感じている。

   人手が「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「農・林・水産」(48.2%、前年同月比22.9ポイント減)と「建設」(48.2%、18.1 ポイント減)が最も高い。次いで、「メンテナンス・警備・検査」(46.5%、21.3 ポイント減)、「電気通信」(45.5%、9.1 ポイント増)、「情報サービス」(44.6%、同29.8 ポイント減)が続いた。

   人手不足の割合が高い上位10 業種のうち、9 業種が減少したなか、「電気通信」のみ増加。電気通信業の企業からは、

「在宅勤務の機会が増えたことで受注が増加している」(石川県)
「リモートワークの動きと通信サービスの提供がマッチし、契約者数が増加傾向にある」(東京都)

といった声にあるように、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う需要の増加などが影響しているとみられる。

従業員が「過剰」と感じている企業が増えている
従業員が「過剰」と感じている企業が増えている

   企業の規模別にみると、「大企業」の38.7%が人手不足を感じているが、前年同月と比べると21.3 ポイントの減少と、全体の減少幅ほど減ってはいない。「中小企業」は29.3%(18.6 ポイント減)、「小規模企業」は28.4%(14.5 ポイント減)となり、それぞれの人手不足感は3 割を下回った。

   また、人手不足の割合を月次の推移でみると、新型コロナウイルスの影響が広がる以前の期間と比較して、特に3 月と4 月で大きく変化した。

   企業からは、「新型コロナウイルスの影響で仕事が急減している」(金型部分品・付属品製造、神奈川県)といった声が多くあるように、外出自粛や休業が広がった影響で経済活動が停滞し、業務量が大幅に減少したことで人手不足の割合にも変化が起きている。

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