【襲来!新型コロナウイルス】「世界最大の対策」と豪語する安倍首相の2次補正予算案 「ふくらし粉の演出」と主要紙が酷評するわけは?

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10万円給付さえまだなのに現場はさらに大混乱

   こうした1次補正の支援さえ受けられない人が多いのに、2次補正の対策が加わっては現場の窓口が大混乱するのではないかと危惧する論調が目立った。

   日本経済新聞「10万円給付や雇調金 執行、スピード感欠く」は、こう訴えた。

「家計向けの10万円給付は事務をめぐる混乱で、多くの自治体がオンライン申請を中止。郵送受付での給付を始めた自治体は5割にとどまる。困窮世帯救済は待ったなしだが大半に支援が届いていない。雇用調整助成金も、申請手続きが煩雑なため、申請を断念する中小・零細企業もある」

として、手続きの大胆な簡略化とスピードアップを求めている。

   また、2次補正予算案の中には、最初から使い道を明記していない「予備費」が10兆円も計上されている。これには賛否両論があった。読売新聞「国民の不満緩和に腐心 迅速対応に予備費10兆円」は、

「あらかじめ使い道を決めない予備費は、内閣の責任で支出に充てることができる。(国会)閉会後に新たな経済対策を打つことになっても、安心というわけだ」

と称賛している。一方、日本経済新聞「予備費10兆円計上 使い道に不透明さ」は、

「予備費は災害などの不測の事態に備える資金で、あくまで例外的な扱いだ。10兆円もの巨額を、国会審議を経ずに自由に使う事態は想定していない。国会のチェックがなければ無駄な予算に巨費が投入される懸念が膨らむ」

として、4月の緊急経済政策で、自民党農林部会から和牛を購入する「お肉券」構想が出た例を挙げた。結局、世論の批判から見送られたが、事実上の衣替え政策の「国産牛肉振興予算」が1次補正に入った。そういうことを平気でやる安倍政権だから、信用ならないというのだ。

   もう一つ、今回の補正予算で問題視されているのは、巨額な赤字国債の発行により、財政の健全化がいっそう遠のいたことだ。毎日新聞「遠のく財政健全化」が、こう警鐘を鳴らす。

「当初予算と1次補正、2次補正を合せた2020年度の新規国債発行額は過去最大を更新し、90.2兆円に膨らむ。国債残高は20年度末で1000兆円に迫る見通しで、一般会計税収(約64兆円)の約15倍に相当する。コロナ禍で企業業績にブレーキがかかり、家計の収入も減って消費が伸び悩み、当面は大幅な税収増は見込みにくい。巨額な借金のツケは将来の国民負担となる」

として、2025年までに財政健全化の指標となる基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化する目標はどうなったのか、と訴えている。

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