コロナ禍でわかった! 守られるのは「兵糧」を貯め込む会社の正社員だ(城繁幸)

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日本は実態としてはとても小さな政府

   今回、他国(特に米国)の失業者急増を目にして「やはり終身雇用は正しい」といった声もちらほら耳にするが、じつに浅い考えだ。ふだんから我慢して兵糧をため込んでいただけの話であり、雇用を維持するコストを負担しているのは労働者自身である。

   ついでに言うと、そうやって雇用を維持してもらえるのは、あくまでも体力のある大手企業が中心であり、体力のない企業はあっさり従業員を解雇するだろうし、大手であっても非正規雇用は遠慮なく雇止めするだろう。

   雇用と社会保障を紐づけたうえで企業に丸投げする副作用として、社会には深刻な格差が生じることになる。

   日本型雇用を簡潔にいうなら「兵糧を貯めこむ余裕のある会社に正社員として入社できた人だけが守られるシステム」ということになる。

   今回のコロナ禍で、日本がとても小さな政府だという現実を痛感している人は少なくないはずだ。

   上記を踏まえれば、アベノミクスはひたすら空虚な政策であり、それを批判する野党の側の対案もまったく中身のないものだというのは明らかだろう。一人でも多くの人がこの事実に気づくことを筆者は祈ってやまない。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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