政府による緊急事態宣言が全面解除されたことで、全国のほとんどで休業要請されていたパチンコ店が続々と再開されている。
しかし、この間に業績が悪化、倒産する店が相次いでいることがわかった。特に全面解除後も全国で唯一、パチンコ店に休業要請を続ける東京都ではパチンコ業界に「反乱」が勃発。大半の店が営業を再開する構えだ。いったい、どういうことか――。
都の協力金は100万円だが、家賃だけで1000万円
パチンコ店の倒産ラッシュという、ショッキングなニュースを伝えたのは、NHK首都圏ニュース(2020年5月26日付オンライン版)の「パチンコ店 全国で85店が倒産や閉店 新型コロナの休業要請」だ。それによると――。
「緊急事態宣言が全国で解除されたが、パチンコ店については東京都などで休業要請が継続されている。パチンコ店は全国に約1万店あるが、NHKが店の関係者や業界団体などに取材したところ、先月(2020年4月)以降、少なくとも85の店が事実上倒産したり閉店したりしたことがわかった」
というのだ。
都道府県別でみると、東京都が11店と最も多く、北海道で9店、愛知県で6店が、閉店に追い込まれた。 休業要請に応じると、東京都の場合、協力金として最大で100万円が支払われるが、店の家賃だけで月に1000万円以上かかる場合もあり、ほとんどの店で「雀の涙」状態だ。NHKの取材に応じた、閉店した東京都大田区のパチンコ店の経営者は、無念そうにこう語った。
「昭和41年(1966年)創業なのに私の代で閉店を決断しなくてはならないのは断腸の思いです。パチンコ店は飲食店などと比べて売り上げの規模が違い、休業すると影響が大きい。解雇した従業員にも申し訳なく思う」
また、業界団体の全日本遊技事業協同組合連合会の阿部恭久理事長も、
「パチンコ店は家賃や光熱費など固定費がかなりかかるが、休業の補償は不十分なのが現状だ。今後さらに閉店が増えると、約20数万人いるパチンコ業界で働く人の生活や雇用の確保が不安だ。飲食店と異なりテイクアウトなどで収入を得ることができず、資金繰りが急速に悪化する店が相次いでいる」
と指摘するのだった。
こうしたこともあって、緊急事態宣言が続き、全国のパチンコ店で休業要請が続いていた時期でも、要請に従わない店が相次いでいた。パチンコ業界のニュースサイト「グリーンべると」を見ると、こんな見出しの記事が目立った。
「営業再開のパチンコ店123店舗を公表、埼玉県」(5月20日付)埼玉県の全パチンコ店は466店だから26.4%、つまり4分の1以上が休業要請に従わなかったわけだ。
「東京都営業再開パチンコ店の公表、累計50店舗超え」(5月20日付)
また、東京都で要請に従わなかったのは全934店のうち53店。5.7%だけである。これは業界団体のお膝元であると同時に、その東京都の組織である都遊技事業協同組合(都遊協)が強力に傘下の店に休業要請を流したことが大きい。