自社の価値や存在意義を見直す「原点回帰」のチャンス
もう一つ、経営者が理解して対応すべきニューノーマルは、ワークシェアという考え方です。少子化の問題が叫ばれる中で、女性活躍やシルバー活用などが徐々に実行されてきましたが、一方でワークシェアこそがこの問題解決のカギを握る存在であると言われてきました。
正社員の時間拘束労働が原則の我が国において、これは遅々として進まなかったのですが、今般突然のテレワークの進展により、労働管理に時間から成果への移行を促すことで、労働力の企業間シェアが一気に進む可能性が出てきました。すでにIT系企業ではワークシェアが動き出していて、この流れは業界問わずニューノーマルになっていく可能性が高いのです。
ニューノーマルへの調和と同時に企業経営者として意識していただきたいのは、予期せぬタイミングで訪れたこの世界的規模の大変革の中で、このタイミングを自社の価値や存在意義を、今一度見直す原点回帰のチャンスでもあるとして捉え直すという考えです。
変革の時こそニューノーマルへの対応を前提として、自社で何が新たにできるのか、ゼロベースで考えてみることが有効になってもくるのです。
同時に、原点回帰による経営理念、経営ビジョンの見直しは魅力のある経営の再構築につながり、これから起きるであろう成果主義への移行による優秀人材の企業間での奪い合いに対しても、確実にプラスに働くことでしょう。
いずれにしましても、今回のコロナショックはビジネス界に世界規模で変革を及ぼすものであり、このような時に古い服を着たままでは置いてきぼりになってしまうのは間違いありません。何を脱ぎ捨て、何を着替え、また何を新たに身に纏うのかを、今こそしっかりと見極める必要があるということを肝に銘じつつ、誰もが未体験のウィズコロナ期を前に向かって突き進む必要があるのではないでしょうか。(大関暁夫)