【襲来!新型コロナウイルス】安倍首相、全面解除して大丈夫? 「1億総浮かれすぎが心配」「在宅ワークもう終わりか」ネットにため息の声

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   政府は2020年5月25日、新型コロナウイルス対策で東京都などの1都3県と北海道に発令していた「緊急事態宣言」を解除した。これで47都道県すべてに解除されたことになる。

   経済の中心地である東京都が解除されたことで、一気に経済活動の再開が加速しそうだ。ネット上では、喜びと同時に一気に気が緩んで、新型コロナの感染第2波がくるのではないかと心配する声も強い。

   また、せっかくテレワークが慣れてきたのに、再び満員電車に乗って通勤しなくてはならないのかという嘆きの声も広がっている。

  • 全面解除を決めた安倍晋三首相
    全面解除を決めた安倍晋三首相
  • 全面解除を決めた安倍晋三首相

ステップ1~3まで段階的に、全面解除は8月1日から

   政府は5月25日午前、専門家でつくる基本的対処方針等諮問委員会に5都道県の解除方針を諮り、妥当との判断が得られた。夕方に開かれた政府対策本部で決定、安倍晋三首相が記者会見で発表した。 主要新聞の5月25日朝刊の論調とネットの声を読み解くと――。

   政府は、「直近1週間の新たな感染者数が、10万人あたり0.5人程度以下」を解除の目安の一つとしていた。東京都、埼玉県、千葉県は目安を達成しているが、北海道と神奈川県は、目安を達成していなかった。しかし、同日の記者会見で西村康稔経済再生担当相は、

「大きく減少傾向にあることに変わりはない。医療状況のひっ迫も緩んできている」

と述べ、総合的に判断して解除に踏み切ったという。

   ただ、全国で宣言が全面解除されたといっても、いきなりすべての社会経済活動が自由になるわけではない。約3週間ごとに感染状況を評価しながら段階的に開放されるという。

   政府の基本的対処方針案をスクープした読売新聞(5月25日付)「政府対処方針案 経済活動段階的に再開 感染防止と両立」によると、業種ごとに取りまとめられた感染拡大のガイドラインにそって感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図っていくという。

   具体的には、たとえばコンサートや展示会、プロスポーツなどのイベント開催に関しては、約3週間ごとに3段階の移行期間を設けて、入場者数の制限を行うとしている。コンサートや展示会ではこうだ。

【ステップ1】(5月25日~6月18日)入場者数100人または定員数の50%のうちどちらか人数が少ないほう。
【ステップ2】(6月19日~7月9日)入場者数1000人または定員数の50%のうちどちらか人数が少ないほう。
【ステップ3】(7月10日~7月31日)入場者数5000人または定員数の50%のうちどちらか人数が少ないほう。
【移行期間後】(8月1日~)定員数の50%ならOK。

   プロスポーツや全国的な移動を伴うイベントではこれに準じており、プロ野球やJリーグなどは「無観客」ならば6月19日から開催できることになる。

   クラスターが発生した接待を伴う飲食業やライブハウスについては、5月31日まで引き続き自粛を求め、6月1日以降は各知事の判断で再開を検討する。また、カラオケやスポーツジムは6月1日以降、人数管理や感染防止対策を徹底したうえで再開を認めるとした。

「新しい日常」東京都は4段階のロードマップ公表

(図表1)4段階のロードマップ(東京都のホームページより)
(図表1)4段階のロードマップ(東京都のホームページより)

   東京都でも5月22日、小池百合子都知事が4段階のロードマップを公表している。都のホームページを見ると、「ステップ0」が現状で、「ステップ1」は学校、体育館、プール、美術館、図書館などの休業要請解除。イベントも50人までなら可、飲食店も午後10時まで営業できる。

   「ステップ2」では、学習塾、劇場映画館、商業施設、100人までのイベントが可。「ステップ3」ではネットカフェ、パチンコ、遊園地、1000人までのイベントが可で、飲食店も午前0時まで営業できる、としている=図表1参照。そして、感染拡大を防止するための生活と働き方「新しい日常」を推奨している=図表2参照

(図表2)新しい日常(東京都のホームページより)
(図表2)新しい日常(東京都のホームページより)

   また、解除後も自由にあちこちを動き回ることがわけではない。読売新聞の基本的対処方針案によると、

「5月31日までは、これまでどおり全都道府県をまたぐ移動は自粛を要請、6月1日以降は首都圏4都県と北海道以外の移動は原則自由、6月19日以降は全国で緩和する。観光もこれに合わせて段階的に認める」

というのだ。

   つまり、全面的に自由に動きまわることができるのは6月19日以降ということになるわけだ。

独自にロードマップを発表した小池百合子都知事
独自にロードマップを発表した小池百合子都知事

コロナ死者は公表数字の12倍以上いる?

   一方、企業活動はどうか。西村担当相は同日の記者会見で、

「経済活動を再開していくうえで各企業が感染防止策を講じていくことは大前提」

だとしたうえで、

「オンラインでできるのだったらオンラインで、テレビ会議ができるのならならテレビ会議で。テレワークできる部分はテレワークをやりましょう。解除されたからといって、すぐに会社に戻らないでほしい」

と訴えた。

   ところで、今回全面解除に踏み切ったが、本当に新型コロナ感染者や死者は減っているのか。日本経済新聞(5月25日付)が「『超過死亡』200人以上 コロナ感染死把握漏れの恐れ 東京23区2~3月」という衝撃的な見出しの記事で疑問を投げかけている。

   じつはPCR検査数が圧倒的に少ないことにより、かなりの数のコロナ感染死が一般の肺炎死に隠れているのではないかというのだ。

「新型コロナウイルスの感染が拡大した2月中旬から3月までに肺炎などの死亡者が東京23区内で200人以上増えた可能性がある。同じ期間に感染確認された死者は計16人だ」

というから、実際のコロナ感染死者は公表された数字の12倍以上いるのではないかというのだ。

   「超過死亡」とは感染症が流行した一定期間の死亡数が過去の平均的な水準をどれだけ上回っているか示す指標だ。インフルエンザの流行を評価するために開発された。たとえば、肺炎で死亡したとしても、インフルエンザによるものか、持病が悪化して死亡したのか判断が難しい。特に今回のコロナ禍のように、PCR検査数が圧倒的に少ない場合は、本当の死因を見極めにくい。

   そこで、過去のインフルエンザ流行時の場合などのデータと比較する。すると、インフルエンザ流行時を上回る「超過死亡」が200人以上出ているというのだ。

   日本経済新聞は、こう警鐘を鳴らしている。

「国立感染症研究所は、(超過死亡の)集計は例年、インフルエンザの流行が終わる3月末までの死亡日が対象。入力期限の5月末以降でないと今シーズン全体の分析はできないとしている。検査未確認の死亡数が増えたとみられる4月分の公表は6月以降となる。欧米では迅速な死亡数の公表・集計が進むが、日本は届け出の電子化が進んでいないため集計が遅い」

   うがった見方をすれば、2~3月分までの「超過死亡」が明らかになる5月末日を待たずに5月25日に解除を急いだ理由は、ここにあるかもしれないというわけだ。

「あ~あ、また満員電車通勤と朝礼が始まるのか」

   そうしたなか、ネット上では西村担当大臣が呼び掛けた「テレワークのススメ」に共感の声が相次いでいる。

「テレワーク継続は賛成です。でも、それに対するメッセージが弱すぎる気がします。テレワーク継続する企業に支援するとか。色々政策を示してほしいです。私の会社では6月1日からは全員出社となっています。電車も混むだろうし、会社に行けば朝礼で全員を一か所に集めて、お偉いさんが訓示を垂れるのだろうなと思うと気が重いです」
「経営が古い会社は大中小問わずに緊急事態が解除されたらテレワーク終了でしょうね。いまだに『成果』のほかに、どれだけガンバッていたかを評価基準に加えている企業は多いです。テレワークではガンバっている姿を確認できないと嘆いている経営層もいます」
「都内の上場企業です。先週の頭から会長サマの命令で全社出勤になりました。自部署はバックオフィスで、テレワークで問題なく業務を回せていたのですが、全く意味が分からなかったです。一応ITをうたっている会社なのですが、社内の老害重鎮サンたちが使いこなせなくて、イライラしていた限界がきたと思われます。こんなことでいいのでしょうか?」
「5月31日までは在宅勤務、その後は通常勤務になる予定です。すでに出勤している同僚の話では、電車が混み始めているとのこと。在宅勤務開始時は効率が下がりましたが、それも解消されてストレスが減り、通勤時間がない分、余裕が生まれて、運動する時間もできて在宅勤務の良さも感じています。1か月半ぶりの出社は、同僚の顔を見られる喜びと通勤電車の不安とで複雑な心境です」

   そして、テレワーク推進の動きを元に戻すべきではないという声が多かった。

「解除後に元に戻す動きは食い止めるべきです。だ。この2か月間でわかったことは、少なくない業種・職種でテレワークをできるということ。それと同時に、先進国で最悪と言われる通勤ラッシュの時間がなくなった分、その時間を有効活用できるようになりました。これを機に、企業はオフィスの東京一極集中を止めて、郊外へシフト、可能な業種については在宅勤務中心にしていくべきですね。世の中を一気に変える『大きな働き方改革』だと思います。西村さんが口で言っただけでは定着しません。企業に指示及び法整備、さらに促進するための予算確保お願いします」

「もう首都圏は浮かれまくっています」

   一方、早くも始まった首都圏の「気の緩み」を心配する声は多い。

「湘南の地元民です。ウォーキングで海近くまで行きますが、週末の土日は大混雑で大変でした。マスクはしない、歩きタバコや砂浜にタバコ埋める、集団で酒を飲んで大騒ぎする人が多くとても嫌です。路駐の車は全部県外ナンバーでした。解除前なのにこれでは、先が思いやられます」
「東京練馬区の住民です。食料品を買いに練馬駅近くのスーパーに行ったが、子連れウジャウジャ、マスクしてない人多数、多くの人が線を守らず接近して並んでいましたよ。解除情報が流れて、久々の開放感に浮かれています。お喋りに夢中で唾を飛ばすカップル、スマホいじりに夢中で周りを気にもしない人たち...迷惑、勘弁してくださいよ」

   今回の全面解除にあたり、政府のあいまいな「移動制限要請」に、憤りを訴える人も多い。

「『県をまたいだ移動は慎重に』などと注意喚起するぐらいなら、なぜ緊急事態宣言を解除するの? どちらにしても強制力ない、ふわふわした要請なのだから。危ないなら解除すべきではないし、解除するなら移動も自由とすべきだと思う。解除した後のステップ1とか2とかも意味がよくわからない。それを要請するなら、緊急事態宣言を続けたまま行うべきではないのか」
「緊急事態宣言を解除するということは、自粛要請を解除するということではないのか? みんなそう思っているよ。地方だけど、解除された後の週末なんか、外食はどこも混んでいた。スーパーもギッシリ並んでいるし、入り口で除菌している人はほぼ見ない。マスク着けずに歩いている人も結構増えた。こんなもんだろう」

   今回、首都4都県と一緒に解除になった北海道民からは、こんな声も寄せられた

「北海道は、再び感染者が上向きになってきたところで解除は非常に危険だと思う。昨日(5月24日)の会見で専門家が北海道、特に札幌は余談を許さない状況にあり解除はまだ厳しいと話していたが、今日(25日)あっさりと解除したことに、本当に諮問したのか疑問が残る。神奈川は1都3県だからまだしも、北海道は第2波になっている。せめて北海道だけでも緊急事態宣言を今月いっぱいは継続でいいと思う」
「東京がよければいいのですね。北海道は見放された感じがする。やはり地方は切り捨てられたか」

(福田和郎)

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